【眠りのプロが解説】赤ちゃんが寝ないときに考えられる理由・原因と、必要な睡眠環境とは?

【眠りのプロが解説】赤ちゃんが寝ないときに考えられる理由・原因と、必要な睡眠環境とは?

育児

目次[非表示]

  1. 赤ちゃんが寝ない理由は?
    1. 赤ちゃんの睡眠環境や生活リズムは整っていますか?
    2. “よくない寝かしつけ”をしていませんか?
  2. 赤ちゃんの睡眠のリズムと特徴
    1. 赤ちゃんの「体内時計」は発達途上
    2. 眠りが浅い赤ちゃんの睡眠リズム
    3. 赤ちゃんに必要な睡眠時間は?
  3. 寝かしつけのコツ
    1. ねんねトレーニングで自力で眠れる力を育てる
  4. まとめ

清水悦子(「NPO法人赤ちゃんの眠り研究所」代表理事)

生まれたばかりの赤ちゃんを育てていくことはパパママにとって大きな幸せである一方、夜中に寝たり起きたりを繰り返したり、夜泣きがなかなか収まらないと、心身ともに参ってしまいますよね。

赤ちゃんが夜中にしっかり寝られるようになるには、理想的な睡眠環境をパパママが整えてあげることが必要不可欠。そのために知っておきたい知識を、「NPO法人赤ちゃんの眠り研究所」の代表理事・清水悦子さんに解説していただきます。
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赤ちゃんが寝ない理由は?

赤ちゃんの睡眠環境や生活リズムは整っていますか?

赤ちゃんが質の良い睡眠をできるようになるには、しっかり眠りやすい環境や生活リズムを整えてあげる必要があります。日常生活の中で常態化している習慣が、赤ちゃんの寝つきの悪さや頻回な夜間覚醒につながっていることがあるので、子どもだけでなくパパママの睡眠環境や生活リズムもこの機会に見直してみてください。

■赤ちゃんが1日を過ごす場所

明かりに照らされた室内で1日中過ごしていると、赤ちゃんの視線の先に常にライトが光っているため、昼夜の区別がつかず寝つきが悪くなります。次のように、体内時計への影響に配慮した生活リズムを作ってあげましょう。

・朝:夜に寝ていた部屋とは別の環境(明るいリビングなど)へ移す
・昼:落ち着いた木陰程度の明るさの部屋(真っ暗にせず、少しカーテンを引く程度)で過ごしたり昼寝する
・夜:就寝30分~1時間前から過度に体を動かす遊びやテレビ・スマホの視聴などを控え、抑えた光の中でゆったり過ごす。そして夜8時ごろには寝室へ移す

■大人の生活・睡眠リズムを赤ちゃんに合わせる

家族が夜遅くに帰宅したり、隣の部屋から生活音が聞こえてくる環境だと、赤ちゃんが落ち着いて眠るのは難しいですよね。パパは仕事を早く終えられる日は赤ちゃんの就寝前に頑張って帰宅し、難しい場合は就寝時間から間をあけて帰宅してください。

また、できれば大人も夜10時ぐらいには布団に入るようにしましょう。そうすれば赤ちゃんが目覚める早朝に一緒に起きて活動をスタートできるし、十分に睡眠をとることでお世話する大人の健康改善にもつながります。

■眠る部屋の温度・湿度

夏:室温の目安は25~27℃。熱帯夜は体温が下がりにくく寝つきが悪くなることがあるので、換気や送風機などで空気の流れを作りながら冷房を運転し、体の熱がこもらないよう気をつけましょう(冷房や送風機の風が直接赤ちゃんにあたらないように注意)。

冬:室温の目安は20~22℃。極端に空気が乾燥しているようなら加湿器や濡れタオルを干して加湿してください。布団を蹴ってしまうようであればスリーパーの使用も検討するといいでしょう。衣類の着せすぎにもご注意ください(背中に手を入れて汗でじっとりしているようだと、着せすぎ)。

■眠る部屋の光環境

生後3~4カ月までの赤ちゃんには、いったん注視した対象から目を離せなくなる「強制注視」という傾向があるので、天井の常夜灯は消すようにしましょう。夜中の赤ちゃんのお世話に明かりが必要な場合は、赤ちゃんの目に直接光が入らないフットライトを置くといいですよ。

“よくない寝かしつけ”をしていませんか?

主に生後6カ月以上の乳幼児で寝つきが悪い場合、それは寝かしつけとして不適切な行動が原因ということがあります。睡眠障害国際分類・第2版によると、それらの行動は「入眠時関連型」と「しつけ不足型」の2つに分類されています。

(出典:赤ちゃんの眠り研究所)

たまに「赤ちゃんの夜泣きを落ち着かせるため自動車に乗せる」という寝かしつけ方法を聞きますが、毎晩ドライブするのは大変ですよね。赤ちゃんが寝かしつけに求めることは“いつもと同じ”という安心感なので、パパママに負担が掛からず毎晩同じことを継続できるルーティンを確立しましょう。

例えば、じっと目を閉じていられない赤ちゃんの場合は、自然と目を閉じるようにおでこを上から下になでおろすなど、それぞれの赤ちゃんに合った“ねんねスイッチ”を模索してみてください。

また、今どきの寝かしつけとしてスマホの動画やアプリを使っている方もいるでしょうが、1歳ぐらいになると赤ちゃんがスマホをいじりたがるようになるので、なるべく寝室にスマホを持ち込まないように徹底しましょう。

ちなみにママの胎内音に似たホワイトノイズを聞かせるアプリが人気のようですが、ホワイトノイズの効果は生後3~6カ月頃から失われていくことが多いです。

赤ちゃんの睡眠のリズムと特徴

赤ちゃんの「体内時計」は発達途上

生まれたばかりの赤ちゃんの睡眠は、夜にまとまった睡眠が取れるまでの発達途上にあります。そうした睡眠の発達に重要な役割を果たすのが、脳の中にある「体内時計」です。

人間の体内時計は24時間より少し長いリズムを刻んでいて、朝の光を浴びてリセットすることによって時間のずれを調整します。そのリセットの仕組みを「同調」と言うのですが、生まれて間もない赤ちゃんはこの同調機構が働いていないため、生後2カ月頃に昼夜逆転してしまうケースも少なくありません。

生まれたばかりのときは3~4時間の睡眠を繰り返す赤ちゃんも、「朝・昼は明るく・夜は暗い」という環境を毎日繰り返す中で同調機構を獲得し、夜にまとまった睡眠を取れるようになるのです。でも、大人の生活パターンに合わせてしまうと、朝・昼はちょっと薄暗い部屋の中、夕方~夜は電灯を明るく照らす部屋の中で過ごしがちで、赤ちゃんにとって昼夜の区別がつきにくくなってしまいます。そうならないためにも、生まれてすぐから「朝・昼は明るく・夜は暗い」環境作りを心がけましょう。

眠りが浅い赤ちゃんの睡眠リズム

(出典:赤ちゃんの眠り研究所)

人間の睡眠は、眠りが浅い状態の「レム睡眠」と、眠りが深い状態の「ノンレム睡眠」が何度も繰り返されています。胎児や乳期早期の場合はそれぞれ「動睡眠」と「静睡眠」と呼びますが、原理的には大人と同じように浅い眠りと深い眠りのサイクルを繰り返しています。

しかし赤ちゃんは大人と比べて眠りのサイクルが短く、また胎内で長く行っていた動睡眠の影響を生後も引きずっているため、睡眠時間の約半分は動睡眠──つまり眠っているときによく体を動かすということ。動睡眠中の赤ちゃんは寝ぼけながら動いたり泣くことがありますが、そうした行動で「赤ちゃんが起きてしまった」と勘違いし授乳したり話しかけたり対応すると、寝ぼけた状態から完全に覚醒させてしまうことに。その結果、再入眠させるために寝かしつけに苦労するケースもあります。

あまり激しく泣いていない場合はこうした“寝言泣き”の可能性があるので、まずは2~3分ほど様子を見てみましょう。いつの間にか泣きやんで再度眠ることもあり、寝かしつけの苦労が軽減されるでしょう。

赤ちゃんに必要な睡眠時間は?

子どもに必要な夜間睡眠は、実は生後3カ月から小学校低学年までほぼ同じで、9~11時間となっています。月齢が低いと夜間睡眠に加えて、必要な分のお昼寝をします。

赤ちゃんの体内時計の発達を促すためにも、夜8時頃には静かで暗い寝室で寝かしつけ、太陽の明るい光を浴びることができる朝6時頃に起きるのが、理想的な生活サイクルでしょう

寝かしつけのコツ

ねんねトレーニングで自力で眠れる力を育てる

ねんねトレーニングとは簡単に言うと、赤ちゃんがパパママに頼らず自分の力で眠れるよう、日常生活の中で行う練習のこと。

具体的には「眠りやすい生活環境を整える練習」と「眠る力を育てる練習」が挙げられます。詳しいやり方はこちらの記事をご覧ください。

まとめ

赤ちゃんは寝たい時に寝て、起きたい時に起きる。だから寝る時間や方法は赤ちゃん任せで大丈夫──もしそう考えているとしたら、大きな誤解です。

仕事で家に帰るのが遅いので寝かしつけはママに任せっきりというパパも少なくないでしょうが、赤ちゃんの睡眠に影響を与える生活環境を整えることはパパにもできます。大人とは異なる睡眠のリズムや特徴をしっかり理解した上で、赤ちゃんが良質な睡眠を得られるよう夫婦で協力しましょう。

<記事協力者プロフィール>
清水悦子

「NPO法人赤ちゃんの眠り研究所」代表理事。茨城キリスト教大学 児童教育学科 助教。長女の夜泣きとその改善体験から保育士資格を取得し、「夜泣き専門保育士」として活動をスタート。2016年にNPO法人「赤ちゃんの眠り研究所」を設立し、一番近くで子どもに関わる養育者が心身の健康状態を維持して心の余裕を保ちながら子育てできるよう、適切な知識を提供する活動を行っている。
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