親しき仲にも程よい距離感が必要?夫婦の“パーソナルスペース”について考えよう

親しき仲にも程よい距離感が必要?夫婦の“パーソナルスペース”について考えよう

夫婦円満

夫婦円満の秘訣としてよく挙げられるのが、愛情表現としてのスキンシップ。


ところが、接近した瞬間に「近い!」とあしらわれたり、ボディタッチしようとしたらパートナーに避けられた…なんて経験はありませんか?


その原因は、相手のことが好きでなくなったからではなく、“パーソナルスペース”を侵されたせいかもしれません。


そこで今回は、良好な夫婦関係を築く上で大切になる、パーソナルスペース=2人の距離感について一緒に考えてみたいと思います。


夫婦の間にも“侵されたくないテリトリー”がある?

家men,夫婦で恋しよう,パーソナルスペース1


パーソナルスペースとは簡単に言うと、他人が入ってくると不快に感じる“個人の空間”、つまり自分だけの心理的な縄張り(テリトリー)のこと。満員電車でストレスを感じたり、初対面の人にやたら近寄られて落ち着かなくなるのも、自分のパーソナルスペースに侵入されたことの影響です。


一般的に男性のパーソナルスペースは縦に細長い楕円形で、女性は前後左右ほぼ均等な円形とされています。


家men,夫婦で恋しよう,パーソナルスペース2

こうしたパーソナルスペースの範囲は人によって個人差がありますが、アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールは“相手との関係性”に注目し、パーソナルスペースを4つの許容距離で分類(※)。相手と面識があったり親しいほど、許容距離は短くなっていきます。


●密接距離:0cm〜45cm
家族や恋人など、特に親しい人だけに許容する近接スペース。


●個体距離:45cm〜1.2m
友人や会社の同僚など、ある程度親しい人に許容するスペース。


●社会距離:1.2m〜3.5m
上司などあらたまった関係の人との間に保つ距離。


●公衆距離:3.5m以上
講演者と聴衆といった“話をする人と聞く人”の間に置く公共の距離。


夫婦の関係は「密接距離」に当てはまりますが、とはいえ四六時中、0cm〜45cmの距離でベタベタされたらどうでしょう? いくら結婚した男女といえども「テリトリーを侵されている」と思い、ストレスを感じるはず。


また、パーソナルスペースの線引き基準となる“相手との関係性”は、その時々の気分によって微妙に変化するものです。


例えば、仕事や家事で疲れきっている時。子どもの世話に追われて頭の中が「親モード」になっている時。こうした自分のことで手一杯なシチュエーションにおいては、たとえパートナーが相手でも「テリトリーに侵入してほしくない」と距離感を保ちたくなるのも無理はありませんよね。


物理的テリトリーと精神的テリトリーの適度なバランスを

家men,夫婦で恋しよう,パーソナルスペース3


パートナーといえども一人の独立した人間。どんな関係であれ自分以外の人の「密接距離」への“侵入”を、常に許容できるわけではありません。


ではどうすればいいいの? まずはパートナーのことを観察したりコミュニケーションを重ね、相手が心地よいと感じる物理的・精神的テリトリーを探ってみてはいかがでしょうか。


人と一緒にいる時間が多い日だったから、今は一人になりたい。

やっと仕事や家事が片づいた後だから、自分の趣味に没頭させてほしい。

一日中家で一人きりだったから、近くに寄り添っていてほしい。


自分本位にならずパートナーの気持ちを尊重し、距離感や接し方に柔軟なメリハリをつけること。そうやってパーソナルスペースをすり合わせていけば、お互いにとってストレスのない、穏やかで幸福な夫婦関係を築くことができるはずですよ。


※参考文献 エドワード・T・ホール著『かくれた次元』(みすず書房・刊)


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