食事の時間は何時? PERT図で最も短い調理時間を割り出そう

食事の時間は何時? PERT図で最も短い調理時間を割り出そう

料理

秘密結社「主夫の友」総統の村上です。


前回の「フローチャートレシピ2.0でカレーの並列調理にチャレンジ!では、アクティビティ図で並列調理を表現しました。


▼前回の記事はこちら






 


フローチャートレシピ2.0でカレーの並列調理にチャレンジ!
「料理は理系!料理をプロジェクトマネジメント」と題し、料理をソフトウエア工学でプロジェクトとして考えマネジメントする方法をご紹介。連載第4回では家庭の定番メニューのカレーを例に、並列調理が発生するレシピのフローチャート作成方法を解説します。
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次のステップは時間管理。どのように並列調理を進行していけば最も時短になるのか考えます。


効率的に作業を行うためには、まずレシピのプロセスをタスクに細分化します。


カレー作りの作業タスクと所要時間を割り出す


まずはカレー作りとご飯を炊くのに必要なタスクと所要時間を割り出します。

カレールウの箱に記載されているレシピを元にした、カレーを作るタスクと時間は以下となります。


■カレーを作る

1. 具材を切る…10分

2. 具材を炒める…5分

3. 具を煮る…30分

4. カレールーを割り入れる…5分

5. 煮込む…10分


■ご飯を炊く

1. 米を研ぐ…5分

2. 米を浸す…30~60分

3. 米を炊く…25分

4. 米を蒸らす…10分


米は無洗米ではなく一般的な精米を使用することにします。

ご飯を炊くには米を研いでから吸水させて炊飯して蒸らすまでの時間が必要です。ご飯が硬かったり表面だけベチャッとした炊きあがりになってしまわないように、吸水と蒸らしの時間はしっかり取りましょう。


米を水に浸す時間は季節や水温によって変動し、夏場は30分、冬場は60分ぐらいが目安です。

また新米か古米かによっても調整が必要。古い米ほど吸水率が悪いので、より長く浸した方がいいです。ここでは夏場の新米を使うこととして、浸し時間を30分とします。


炊飯は炊飯器の早炊きモードを利用するか、ガスで炊くことにして、必要時間は25分となります。


PERT図でタスクと時間の流れを分析


料理が完成する最短納期を特定するには、PERT(Program Evaluation and Review Technique)を使います。

PERTはプロジェクトを完遂するために必要なタスクと各タスクに要する時間を分析する手法で、プロジェクトを完了するのに必要な最小時間を特定することができます。


前述の「カレーを作るタスク」と「ご飯を作るタスク」の流れをまとめたものが、下記の「カレー作りのPERT図」です(炊き上がったご飯をお皿に盛るのに1分、お皿のご飯にカレーをかける作業時間を1分とします)。



矢印が「関連のある作業タスク」の流れです。並行して行うことのできる作業を、矢印を分岐させ並列表記しています(水色の矢印が「カレーを作る作業ライン」、オレンジの矢印が「ご飯を炊く作業ライン」)。


このカレー作りのPERT図で、カレーライスが完成するまでに必要な作業と時間を特定します。


各工程の最短作業時間と余裕時間を整理


カレー作りとご飯を炊く、2つの作業ラインの最短作業時間と余裕時間を割り出し、どの作業を優先して行えばプロジェクト全体を最短で完遂できるか考えます。


カレーとご飯の2つの作業ラインと必要時間をまとめると


カレーを作る作業ライン ①→⑥→⑦→⑧→⑨ 計60分

ご飯を炊く作業ライン ①→②→③→④ 計70分


ご飯を炊く作業の方が時間が必要だと分かりました。次は各工程の経過時間を整理します。



最早:最も早く作業に取りかかれる時間(これ以上早く開始できない時間)… 一番上の緑枠

最遅:ここまで待って作業に取り掛かっても最短工程に間に合う時間 … 真ん中のオレンジ枠

余裕:最遅−最早=余裕時間(その工程に余裕があるか分かる)… 一番下のグレー枠


最短調理手順のクリティカルパスを割り出す


プロジェクトが最短で完了する作業ラインをクリティカルパスと呼びます。

カレー作りのPERT図でのクリティカルパスは余裕時間が0分のラインで、ご飯を炊く作業ラインだと分かります。



■PERT図で分かること


①複数の料理を作る際に所要時間が推測でき、何時に料理が完成するか分かる

家族から「お腹すいた~、ご飯まだ~」と急かされても、逆算して「○○時にできるよ」と答えられます。


②どの工程を優先して調理すべきか分かる

クリティカルパスの作業時間を時間通りに進めないと全体が遅くなる。カレーの作業時間をどんなに短縮しても、ご飯が炊きあがらないとカレーライスは完成しません。

           

③クリティカルパス以外の作業は慌てる必要はない(余裕時間がある)

カレーライスの場合、カレー作りは調理時間に余裕があるようです。


「時短」レシピでも調理全体の時間は変わらない。リードタイム短縮より、基本に忠実、安定を重視


前述のようにご飯が炊き上がるまでに必要な時間は、夏場でも70分、冬場(浸し時間60分)だと100分かかります。


これは仕事でいうところのリードタイム(計画から納品までに要する時間)。炊飯器のタイマーをセットして、それに合わせてカレーを作りますが、カレーの調理には時間の余裕があることがわかりました。


レシピ本やインターネットでは「時短」「簡単」「お手軽」などのキーワードが掲げられていますが、時短レシピもご飯が炊きあがるまでに調理が終わっていればいいのです。


料理初心者が「時短」をやろうと急いで作業するよりも、基本のレシピに忠実に丁寧に調理した方が失敗するリスクが低いでしょう。


今回は、調理時間の把握にPERT図を使用して調理工程と時間を可視化し、最短の調理時間を割り出しました。


これで何時に料理が完成するのか、さらに食事の時間から逆算して何時から調理を始めれば良いのか分かります。また、子どもから「お腹すいた~」と急かされても「あと何分だよ」と夕飯の時間を答えることができます。


今回のPERT図ではカレーを例に挙げましたが、カレーの他にも主食がご飯のメニューを作る場合は、同様にご飯を炊く時間を基準にして調理手順を組み立てることができます。


下ごしらえに手間がかかる料理やじっくり煮込み料理などを作る場合は、調理時間の一番長いメニューを基準にしてマネジメントすればいいのです。


次回は各調理のタスク管理を考えていきます。


▼次回の記事はこちら






 


ガントチャートで調理の工程と流れを可視化しよう(前編)
「料理は理系!料理をプロジェクトマネジメント」と題し、料理をソフトウエア工学でプロジェクトとして考えマネジメントする方法をご紹介。連載第6回では、カレー作りで同時進行する調理作業と時間経過を可視化する「ガントチャート」の応用法を解説します。
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