ネット・動画・ゲームで疲れた“スマホ脳”をリセット!手軽にできるデジタルデトックスのススメ

ネット・動画・ゲームで疲れた“スマホ脳”をリセット!手軽にできるデジタルデトックスのススメ

ライフスタイル

目次[非表示]

  1. スマホ脳って?スマホが脳に及ぼす影響とは?
    1. スマホの使いすぎで脳が疲労する
    2. スマホによる脳過労がもたらす弊害
  2. 大人だけの問題ではない!子どもの“スマホ脳”リスク
  3. スマホ脳を休ませ活性化できる「デジタルデトックス」の方法
    1. デジタルデトックスとは?
    2. 【方法①】電車やトイレでの「スキマ時間」のスマホ利用を控える
    3. 【方法②】1日の中に「スマホと距離を置く時間帯」をつくる
    4. 【方法③】スマホの代わりに「新しい楽しみ」を習慣化
    5. 【方法④】スマホでやっていることをあえて「アナログ習慣」に置き換える
    6. 【方法⑤】スマホを手放して散歩や日光浴をする
毎日の暮らしの「困った!」に役立つ技やコツをご紹介する連載「目指せ我が家のHERO!家族を助ける特技を作る」。今回のテーマは「デジタルデトックス」です。

最近、「ずっと眠くて体が重い」「もの忘れが多くなった」「すぐイライラする」と感じることはありませんか? その原因は、スマホやパソコンなどのデジタル機器を長時間利用しすぎて「脳が疲れている」せいかもしれません。なかでもスマホは利便性が高いためつい手に取って利用時間が長くなり、身体的・精神的な疲労の大きな原因になっているそうです。また、そうしたスマホやパソコンの使いすぎが原因とされる疲労の有効な解消法として、一定時間デジタル機器と距離を取る「デジタルデトックス」が注目されています

そこで今回は、スマホやパソコンの使いすぎが心身に及ぼす影響と、その改善策として実践したい「デジタルデトックス」を、菅原脳神経外科クリニック理事長の菅原道仁先生による監修でご紹介します。

スマホ脳って?スマホが脳に及ぼす影響とは?

脳科学的な見地からスマホが脳に与える影響に警鐘を鳴らした、スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏の著書『スマホ脳』が昨年に日本でも刊行され、スマホが私たちの生活や健康に及ぼす負の影響が改めて注目されています。

スマホやパソコンなどのデジタルツールは、今や私たちの生活になくてはならない便利な機器。特にスマホは「インターネットを見る」「SNSでコミュニケーションする」「動画を見る」「ゲームアプリで遊ぶ」などさまざまな楽しい機能が集約されているため、つい手に取ってしまうという方も少なくないのでは?

しかし、息抜き程度なら問題ないのですが、暇さえあれば無意識に手が伸びてしまうほどスマホを使ってしまう“依存”状態に陥ると、次のような影響が懸念されます。

スマホの使いすぎで脳が疲労する

人間が受け取った情報を処理する脳の前頭前野には、主に「浅く考える機能」「深く考える機能」「ぼんやりと考える機能」という3つの機能があります。「浅く考える機能」とは、短い時間に心の中で情報を覚え同時に処理する能力のことを指し、会話や計算などの基礎となる私たちの日常生活や学習を支える重要な能力でワーキングメモリ(作業記憶)といいます。

絶えずスマホを見て情報をインプットし続けていると「浅く考える機能」ばかり使って脳が疲れてしまい、一方で「深く考える機能」「ぼんやりと考える機能」が使われず、脳で情報の整理や分析を行う暇がなくなってしまうのです。こうした状態は「脳過労(オーバーフロー脳)」と呼んでいる専門家もいます。また、脳が疲れている時ほど頭を使わず手軽に情報や快楽を得たくなり、スマホの使用時間がさらに長くなるという悪循環に陥りがちです。

ちなみに、ここでいう“スマホからインプットする情報”は文字だけを指すのでなく、光や色なども含まれます。つまり、動画やゲームに延々と夢中になっている状態もインプット過多と言えます。

スマホによる脳過労がもたらす弊害

スマホの使いすぎによる脳過労(オーバーフロー脳)が身体やメンタルにもたらす影響として、次のことが挙げられます。

●もの忘れやうっかりミスが増える
前頭前野の「浅く考える機能」が低下すると、もの忘れが激しくなったり、うっかりミスや約束を忘れることが起こりやすくなります。

●意識や感情をコントロールしづらくなる
前頭前野の「深く考える機能」が低下することによって、判断力や集中力が低下。さらに、イライラしたりキレやすくなるなど、感情のコントロールが不安定になりがちです。

●身体全体の調子が悪くなる
スマホの長時間利用が大きな原因となる体調不良といえば、眼精疲労やスマホ首(ストレートネック)が思い浮かびますよね。それ以外にも、前頭前野の機能が低下することによって自律神経の働きも乱れ、慢性的な疲れ・頭痛・不眠といった体調不良を引き起こしてしまいます。

大人だけの問題ではない!子どもの“スマホ脳”リスク

スマホの使いすぎによる脳への影響が懸念されるのは、大人だけではありません。東北大学加齢医学研究所・川島隆太所長が仙台市在住の児童・生徒224名を3年間追跡調査し、日常生活習慣と認知機能発達や脳発達の関係を解析したところ、インターネット習慣がない(あるいは少ない)子どもたちは、脳の活動に重要な大脳灰白質の体積が増加(発達)。それに対し、ほぼ毎日インターネットを使用する子は大脳灰白質の体積増加は平均値がほぼゼロに。つまり、大脳灰白質の発育に遅れが認められたそうです(※1)。
※1:川島隆太『最新研究が明らかにした衝撃の事実――スマホが脳を「破壊」する』(集英社)

もちろんこのデータはインターネット習慣との関係をみたもので、スマホ習慣との関連を直接調べたものではありません。とはいえ、内閣府の調査(※2)によると中学生の65.8%、小学生の40.7%がスマホでインターネットを利用しているそうなので、スマホ使用との関係性も無視できません。
※2:内閣府「 平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」

▼子どもに適したスマホとの付き合い方については、こちらの記事をご参照ください

スマホ脳を休ませ活性化できる「デジタルデトックス」の方法

デジタルデトックスとは?

スマホなどの使いすぎが健康によくないことは分かっても、完全に手放す生活は考えづらいですよね。そこで皆さんに提案したいのが、一定期間だけデジタル機器から距離を取ることで脳をリフレッシュし、健全に付き合うスタンスを再構築しながら心身の調子も整える「デジタルデトックス」です

本来なら「数日間はスマホを触らない」「機内モードで無線通信を停止する」という“スマホ断ち”レベルまで徹底できれば効果も高いのですが、そこまですると仕事や生活に支障を来たすかもしれないので、次に挙げるような方法を試してみてください。

その前にまず、1日でスマホなどのデジタルツールをどの時間帯に合計何時間使っているか、箇条書きやグラフ、あるいはアプリで可視化してみましょう。さらに各時間帯でどんな行動をしていたかまで振り返れたら、「この時間帯は使いすぎ」と客観的にジャッジすることができ、今後のデジタルデトックスの指針や計画を作りやすくなるでしょう。

また、スマホと距離を置く間に家族や知人から届いた通信へのチェックや返信が遅れると、相手を不安にさせてしまう可能性があります。デジタルデトックスの予定(スマホを使わない時間帯)はあらかじめ周囲に連絡しておきましょう

■iPhoneの使用時間の可視化アプリ「スクリーンタイム」
https://time-space.kddi.com/mobile/20181121/2501

【方法①】電車やトイレでの「スキマ時間」のスマホ利用を控える

スマホの利用時間が増える原因の一つに、どんな短いスキマ時間でもサクッと利用できる手軽さがあります。しかし、そうやって四六時中スマホを手放せないでいると、スマホを使っているというより“使われている”状態と言っても過言ではありません。

そこで、家庭ならお風呂やトイレにスマホを持ちこまず、外出時なら電車などの移動中にスマホをカバンから取り出さないなど、スキマ時間にスマホをつい手にしてしまう習慣を見直しましょう。そうすれば、スマホに振り回されず程よい距離感を取りやすくなるはずです。

【方法②】1日の中に「スマホと距離を置く時間帯」をつくる

スキマ時間のスマホ利用を我慢できたら、次は「スマホから物理的に距離を置く時間帯」を設けるようにしてみましょう。

例えば「平日に帰宅してからの夕食後や、週末の午前中はスマホを触らない」「仕事以外の外出時はスマホを持ち歩かない」など、仕事や日常生活に支障を来たさない形で無理なく距離を置けば、スマホを使わない時間に慣れて依存度はおのずと下がるはずです。誘惑に打ち勝つ自信がない場合は、パートナーに管理してもらったり、設定した時間まで空けられない「禁欲ボックス」にサポートしてもらうのもいいかも。

【方法③】スマホの代わりに「新しい楽しみ」を習慣化

「スマホを使わない時間帯をつくる」だけだと、その時間を持て余して“禁断症状”に苦しむ恐れがあるので、スマホと距離を置いた時間の行動を「アナログな楽しみ」にスイッチしましょう

例えば、「家族みんなが一緒にいる時間帯は家族団らんを優先する」「ネットサーフィンの代わりに本や雑誌を読む」「プラモデル作りなど手を動かして没頭できる趣味を始める」など、スマホに負けない楽しい時間の創出を図ってみてください。

【方法④】スマホでやっていることをあえて「アナログ習慣」に置き換える

インターネットの検索機能やスマホアプリで「答えや探し物が一発で見つかる便利さ」に慣れてしまうと、脳の「記憶する力」や「思い出す力」はどうしても衰えてしまいます。

そこで、「言葉の意味や電車の時刻を調べる時は、アプリではなく辞書や時刻表を使う」「電子書籍ではなく紙の本を読む」「メールではなく手書きの手紙や電話でコミュニケーションする」など、これまでスマホに頼っていた行動をリアルな質感の伴う手法に置き換えてみましょう。そうした「自分の頭で考えたり覚える」「自分の手を動かす」というアナログ習慣が習慣化すれば、脳が活性化するしスマホの利用頻度も自然に下がるはずです。

【方法⑤】スマホを手放して散歩や日光浴をする

脳過労で意識や感情のコントロールが不安定になると、うつに近い症状が出ることも…。日光を浴びることで分泌されるセロトニンには、精神の安定やリラックス、また脳の覚醒や活性化に効果があります。朝起きたら10~15分ほど庭やベランダに出て日光を浴びたり、晴れた日に近所の道や公園を散歩し(もちろんスマホは携帯しない)、セロトニンの分泌を促しましょう。

またセロトニンは、眠気を促す睡眠ホルモンであるメラトニンの原料でもあります。セロトニンを十分に分泌してメラトニンをしっかり作れば、良質な睡眠を確保することができ脳の疲れも取れやすくなります。
デジタルツールは上手に使えば仕事や生活が便利になりますが、過度に依存して“使われている”状態になると、心身の健康バランスを乱すおそれがあります。テレワークやおうち時間の増加でスマホやパソコンを利用する頻度も増えていることでしょうが、デジタルツールと物理的に離れる時間を持つ「デジタルデトックス」を可能なところから実践し、デジタルとアナログのバランスが取れた脳にとって健康的な暮らしを目指しましょう。

<監修者プロフィール>
菅原道仁(脳神経外科医)
菅原脳神経外科クリニック理事長。杏林大学医学部卒業後、国立国際医療研究センターで緊急脳疾患専門医として従事し、2000年から脳神経外科専門の八王子・北原国際病院に15年間勤務。2015年6月、八王子に菅原脳神経外科クリニックを開院。専門である脳科学の視点から、物忘れや認知症などの脳の病気・予防を中心に診察している。著書に『認知症予防のカキクケコメソッド』(かんき出版)『そのお金のムダづかい、やめられます』(文響社)など。

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