梅雨から夏にかけて特に要注意!家庭で食中毒を予防する対策ポイント

梅雨から夏にかけて特に要注意!家庭で食中毒を予防する対策ポイント

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目次[非表示]

  1. 食中毒の主な症状・原因と、家庭での予防3原則
    1. ①つけない
    2. ②増やさない
    3. ③やっつける
  2. 家庭に潜む食中毒リスクと具体的な予防対策
    1. ①お店での買い物
    2. ②家庭の冷蔵庫・冷凍庫での保存
    3. ③台所での下準備
    4. ④台所での調理
    5. ⑤食事時
    6. ⑥残った食品の保存
    7. 【番外編】お弁当の食中毒対策
毎日の暮らしの「困った!」に役立つ技やコツをご紹介する連載「目指せ我が家のHERO!家族を助ける特技を作る」。今回のテーマは「家庭の食中毒対策」です。

食中毒は年間を通して一定の発生が見られ、日ごろから予防と対策が必要となる病気です。その中でも特に注意すべきなのは、梅雨から夏にかけての季節。食中毒の主な原因である細菌が、湿度や気温が高くなることで増殖しやすい条件が整ってしまうためです。

食中毒というとレストランなどの飲食施設での事例が思い浮かぶかもしれませんが、厚生労働省の統計によると飲食店に次いで2番目に食中毒を引き起こしているのが家庭で、全体の約4分の1にのぼります。また、家庭における食中毒は、症状が軽かったり家族全員に症状が出ないことによって食中毒と認識されないケースも少なくないため、実際にはもっと多く発生していると推測されています。
※出典:厚生労働省「食中毒統計資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html


そこで今回は、料理にまつわる日ごろの家事習慣に注意することで対応できる家庭の食中毒予防ポイントを、家事アドバイザー・藤原千秋さんの監修でご紹介します。

食中毒の主な症状・原因と、家庭での予防3原則

食中毒は、細菌やウイルスなど有害な物質が含まれた食べ物を口にすることで、下痢・腹痛・吐き気・発熱といった腸などの消化器の症状を発症する病気。その主な原因となるのは、牛や豚など家畜の腸の中にいる腸管出血性大腸菌(O157やO111)、牛・豚・鶏・猫・犬などの腸の中にいるカンピロバクターやサルモネラ属菌など。また、人の皮膚にいる黄色ブドウ球菌など、自然界に広く分布する細菌も挙げられます。

こうした原因菌から家庭で食中毒が発生しないようにするには、食品の取り扱いへの注意と調理場の清潔さを保つことが重要。そのガイドラインとして厚生労働省は「食中毒予防の3原則」を掲げています。

①つけない

手に付着している細菌やウイルスを食べ物につけないよう、調理前や調理中などこまめに手を洗いましょう。生の肉や魚を扱った調理器具(包丁やまな板)も使うたびに洗剤で洗いましょう。

②増やさない

細菌の多くは10℃以下で増殖のペースが下がり、マイナス15℃以下で増殖が停止します。肉・魚・野菜などの生鮮食品は、スーパーで購入後すみやかに冷蔵庫に入れ、低温で保存してください(冷蔵庫を過信しすぎるのも注意)。

③やっつける

ほとんどの細菌やウイルスは熱に弱く、加熱によって死滅します。肉・魚・野菜はしっかり加熱調理し、特に肉は中心までよく加熱してください。また、肉や魚を調理するのに使用した調理器具は念入りに洗浄し、細菌の付着が心配な場合は除菌・漂白・消臭効果のある台所用漂白剤を使いましょう。

家庭に潜む食中毒リスクと具体的な予防対策

家庭における食中毒のリスクは、食品の購入から調理・食事まであらゆる過程につきまといます。では、先ほど挙げた食中毒予防「つけない・増やさない・やっつける」の3原則を、いつどのように実践すればいいのか? その具体的な方法を、厚生労働省では6つのポイントに分けて推奨しています。

①お店での買い物

肉や魚などの生鮮食品は消費期限を確認し、常温で持ち歩く時間を減らすためお店での購入は最後にしましょう。購入後、肉や魚は他の食品に触れたり汁が付かないようビニール袋に入れて分け、寄り道せずまっすぐ持ち帰りましょう。

②家庭の冷蔵庫・冷凍庫での保存

生鮮食品など温度管理が必要な物は、帰宅後すぐに冷蔵庫・冷凍庫に保存してください。その際、肉や魚が他の食品に触れたり肉汁がかからないよう、ビニール袋や容器に入れること。また、肉・魚・卵などを取り扱う前と後には、必ずせっけんで手指を洗って流水で十分に洗い流しましょう。

さらに、冷蔵庫や冷凍庫の保存環境も注意が必要です。細菌の増殖を抑えるために冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持。中に物を詰めすぎると冷気の循環が悪くなる(=庫内の温度が高くなる)ので、容量の7割程度を目安に、詰めすぎないよう気をつけましょう。

③台所での下準備

調理の前にせっけんで丁寧に手を洗い、生の肉・魚・卵を触った後も手を洗ってください。野菜などの食材は流水できれいに洗い、サラダのように生で食べる物や調理済みの食材に生肉や魚の汁がかからないよう注意しましょう

下準備における食材の取り扱いでもう一つ注意したいのが、冷凍食品の解凍。自然解凍は避け、冷蔵庫や電子レンジを利用してください。また、冷凍食品は使う分だけ解凍し、冷凍や解凍を繰り返さないようにしましょう。

生肉や魚を扱う包丁やまな板の調理器具は、野菜を切ってから肉を切るなど使う順番を考えたり、肉用・魚用・野菜用と別々に揃えて使い分けると安全かつ安心。使用後は洗剤と流水でよく洗い、できれば除菌・漂白・消臭効果のある台所用漂白剤も使いましょう。ふきんやタオルも使用後は熱湯で煮沸し、しっかり乾燥させてください。

④台所での調理

調理の前にまずは手洗い。また、下準備で肉汁が飛び散ったり汚れたままになっていないかチェックし、清潔にしてから調理に取りかかりましょう。

生の肉や魚は中心部までしっかり加熱することが基本(中心部を75℃で1分間以上の加熱が目安)。食材をそのまま室温に放置すると細菌が増えるので、調理の工程でしばらく使わない時や必要でなくなった場合は冷蔵庫へ入れてください。また、電子レンジで調理する場合は、ムラなく加熱されるよう時々かき混ぜることも必要です。

⑤食事時

食卓につく前にせっけんで手を洗い、盛りつける食器や食事の器具は清潔な物を使うこと。また、作った料理は室温でずっと放置せず、すぐに食べるか冷蔵庫に保存するようにしましょう。

⑥残った食品の保存

食べきれなかったり作り置きの食品を扱う時もまずは手を洗い、清潔な皿や容器に保存すること。食品は常温の状態が続くほど細菌が増殖するので、浅い容器に小分けして保存し、早く冷やせるようにしましょう。常温で置いている時間が長かった食品やニオイが怪しいと思った場合は、思い切って捨てることも大切です。

なお、残った食品を温め直す時も十分な加熱が必要(75℃以上が目安)。味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱してください。

【番外編】お弁当の食中毒対策

お弁当の食中毒対策も「つけない・増やさない・やっつける」の3原則は鉄則です。調理中の手洗いや調理器具の清潔さはもちろん、お弁当箱を清潔に保つことも重要。特にふたのパッキンは汚れやすく黒カビが生える恐れがあるので、ちゃんと外して洗うようにしましょう。

お弁当箱に食品を詰める時に注意したいのが「水分」。水分が多いと細菌が増殖しやすいため、おかずの汁気や生野菜・果物の水気はよく切ってから詰めましょう。仕切りや盛りつけカップを活用したり、揚げ物や焼き物など元々水分の少ない食品を作るのもよいでしょう。また、食品が温かいうちに詰めると蒸気がこもって水分になるので、冷やしてから詰めてください。

さらに忘れてはいけないのが保存方法。長時間持ち歩く時は保冷剤や保冷バッグを活用し、車中や日の当たる場所に置く場合はクーラーボックスに入れるようにしましょう。
食中毒は見えない細菌やウイルスによって引き起こされるため、いくら台所や調理器具が「キレイ」でも、それが「清潔」とイコールにはなりません。見た目のキレイさだけで安心せず、生活シーンごとの食中毒リスクをしっかり把握し、それぞれの状況に必要な防止策を実践してください。

<記事監修>
藤原 千秋

大手住宅メーカー営業職を経て、主に住宅・家事まわりの記事執筆やアドバイザーを幅広く務めている。家・子ども・仕事の三つ巴を愉しむ三児の母で、育児経験を踏まえた実践的な視点に定評あり。「この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典」(朝日新聞出版)「ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!」 (オレンジページ)など著書・マスコミ出演多数。

※統計データ・記事参照
厚生労働省「食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント」
https://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/index.html
農林水産省「お弁当づくりによる食中毒を予防するために」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/lunchbox.html