
日々のメンテナンスでビジネスマンとしての印象が決まる!大切なスーツのお手入れ術
日々の生活用品や趣味のこだわりアイテムなど、大切なモノを長く愛用し続けるために必要な“お手入れ”術を、各アイテムの取り扱いを熟知した専門家たちに解説していただく「こだわり品のお手入れ術」。
第6回のテーマは「スーツ」。日本で唯一のイメージスタイリストとして活躍する株式会社S-style代表取締役の岡本章吾さんに、スーツの日常的なメンテナンスや長期保管のコツを解説いただきます。
忘年会や新年会のパーティーから顧客の挨拶回りまで、年末年始はこだわりのスーツを着用する機会が多くなるので、ぜひ実践してみてください。
スーツを傷めない原則は「1日着たら2日着ない」
ビシッとスーツを着こなしているビジネスマンと、ヨレヨレのスーツを着ているビジネスマンとでは、相手に与える印象は大きく変わります。
男にとってスーツとは、ビジネスでの成果が左右される大切なアイテム。つまり“作業服”ではなく“戦闘服”なのです。
そんな“戦闘服”でもあるスーツをビシッと着こなし、良い状態で長く愛用するには、日々のメンテナンスが重要となります。
スーツに使用されている生地には化学繊維と天然繊維の2種類があり、なかでも天然素材であるウールが中心です。
ウールは伸縮性や耐久性に優れているのですが、ダメージを受けやすい素材でもあります。1日着用しただけでも生地素材のウールに汗が染み込んだり、さらにホコリが付着することで傷んでしまうケースも。
そこで実践したいメンテナンスの基本原則が「1日着たら2日着ない」。
スーツを休ませることで、生地に染み込んだ水分が蒸発し、スーツに付いたシワも伸びます。
週5回スーツを着用する方であれば、ローテーションできるよう1シーズンあたり最低3着は揃えておき、傷んだスーツを回復させる休息日を設けましょう。そうすればスーツのダメージは減り、長持ちさせることができますよ。
毎日のスーツのメンテナンス
もちろん、スーツを1日着たら2日以上休ませるだけでなく、着用後のお手入れも必要となります。その方法について解説しましょう。
■厚めの木製ハンガーにかける
スーツをかけるハンガーは、クリーニング店でもらえる針金製やプラスチック製ではなく、専用ハンガーを購入しましょう。防湿効果がある木製がオススメです。横幅がスーツの肩幅と近くて、型崩れしないよう3〜6cm程度の厚みがあるハンガーを使ってください。
■スラックスはスラックス専用ハンガーに
スラックスをスーツのハンガーに一緒にかける方も少なくないと思いますが、落下しやすいためオススメしません。スラックス専用ハンガーでクリップにはさんで吊るしておけば、スラックス自身の重みである程度のシワは取れていきますよ。
■風通しの良い場所にかける
ハンガーにかけたスーツをすぐクローゼットにしまわず、風通しの良い場所にかけておくと湿気が取れやすくなります。
■ポケットの中身は出す
スーツのジャケットに付いている脇ポケット・胸ポケット・内ポケットに小物などを入れたままにしておくと、その重みで生地が伸びたり型崩れの原因となってしまいます。帰宅してハンガーにかける時はもちろん、着用中も極力ポケットには物を入れないようにしましょう。
■スーツをブラッシング
スーツにホコリや汚れが付いたままにしておくと、生地の回復が遅れてシワになってしまうので、着用後のブラッシングはメンテナンスの基本です。それにブラッシングを行えば繊維の流れが整うので、スーツのテカリや毛玉を防ぐ効果もありますよ。
ちなみにブラシは高級スーツにも対応できる天然の馬毛がオススメです。
スーツをハンガーに吊るした状態で、前身頃や後ろ見頃など全体を、上から下へと繊維に沿ってなでるように軽くブラッシングしてください。ラベルの裏側やボタン部などもお忘れなく。
■気になるシワや匂いにはスチームアイロンで対処
上記のメンテナンスでシワが取れなかったり、またスーツに付いた匂いが気になる時は、スチームアイロンを使えばある程度のシワや匂いを取ることができます。
スーツをハンガーに吊るしたまま、スチームアイロンを直にかけず、やや離してスチームを当てるようにしましょう。そうすれば乾いた時にはシワが伸びているはずですよ。
シーズンを終えたスーツの長期保管方法
■クリーニングに出したらガーメントケースで保管
クリーニングに出したスーツはビニールカバーに覆われて戻ってくることが一般的ですが、通気性が悪いビニールを付けたまま保管しておくと、内部に湿気がたまりカビなどが発生しやすくなります。ビニールカバーは必ずはぎ取り、スーツを不織布のガーメントケースに入れて保管しましょう。
■クリーニングは控え目に
頻繁にスーツをクリーニングに出す方もいますが、あまりにも頻繁すぎると生地が傷んで風合いを損なうことがあります。目立った汚れがなければ、1シーズンに1度程度、例えばシーズンが終わった衣替えの時で十分です。
■クローゼットの中には適度な隙間を
クローゼットにスーツを収納する時、隙間なくギッシリかけてしまうとスーツが潰れ、傷んだりシワになってしまいます。また、通気性が悪くなることでカビの原因にもなるので、スーツとスーツの隙間を数cmは開けるようにしましょう。
メンテナンスを通じて高まっていく“戦友”への愛着
冒頭で「スーツは“作業服”ではなく“戦闘服”」と書きましたが、長い時間を共にするスーツは“戦友”でもあります。
日々のメンテナンスを通じてスーツと向き合っていけば、“戦友”に対する愛着が湧き、大切にしようという気持ちが高まります。
そうすると、普段の着方や扱い方にも気を配るようになり、身のこなしや振る舞いまで自然とエレガントになっていくことでしょう。
ブラシやスチームアイロンをかける時は、そのスーツで臨んだ仕事やパーティーなどさまざまな場面・背景をぜひ思い出してみてください。きっと今までとは違った発見があると思います。
そして「またこのスーツを着て頑張ろう!」と思っていただけたら嬉しいです。