『映画 えんとつ町のプペル』│たった一人の友達が、冒険へ踏み出す勇気になる

『映画 えんとつ町のプペル』│たった一人の友達が、冒険へ踏み出す勇気になる

趣味・遊び

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  1. 友情って何だろう?大切な友達は誰?
  2. 黒い煙の向こうに星がある──信じる心が奇跡を起こす
  3. いつも隣にいて、周りを気にせず応援する──それが友達

友情って何だろう?大切な友達は誰?

会話はマスク越し、3密を避けてソーシャルディスタンスを保つ、不要不急の外出や大人数での会合は控える…。コロナ禍の影響で人と人とのコミュニケーションの形が大きく変わり、他人と気軽に会ったり話すことが難しくなりました。その結果、友達の何人かとは以前よりもやり取りが減って距離が開いた、という方も少なくないのでは?

こうした友人関係の変化は寂しくもありますが、考え方を変えてみると「理想の友人関係って何だろう?」「自分にとって本当に友達と言える人って誰だろう?」と見つめ直す機会になるかもしれません。

そこで今回は、大人にも子どもにも友情について考えさせてくれるオススメの映画をご紹介します。お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんのプロデュースによって制作された大ヒット絵本をアニメ化した、現在劇場公開中の『映画 えんとつ町のプペル』です。

黒い煙の向こうに星がある──信じる心が奇跡を起こす

物語の舞台は、町じゅうが煙突だらけの「えんとつ町」。ここでは町の煙突から上がる黒い煙が常に空を覆い、住民たちは青い空や星が輝く夜空の存在すら知らずに生活しています。そんな中、少年ルビッチだけは「黒い煙に覆われた空の向こうに星がある」という亡き父の教えを信じているため、周りから嘘つき呼ばわりされ孤立していました。そんなハロウィンの夜、ルビッチはゴミ山で誕生したゴミ人間プペルと出会い、友達になります。

©西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

最初に驚かされるのは、『アニマトリックス』や『海獣の子供』で世界的に評価されたSTUDIO4℃が描き出す、ダイナミックかつ幻想的な映像の美しさ。煙で覆われた薄暗い町に光がキラキラと灯る光景は、ファンタジックでありスチームパンク的なカッコよさも感じさせます。原作絵本を読んだことのない人でも、自分がえんとつ町にいるような(あるいは、そこにいたい)気分になり、1枚の静止画ではなく“動いている”生活空間としての物語世界へたちまち引き込まれること間違いなし!

映画は原作絵本の内容をベースに展開しますが、もともと西野さんは全10章の物語を構想していたそうで、絵本に描いたのはそのうち3~5章。そして今回の映画では、「なぜえんとつ町が生まれたのか」「えんとつ町を作った人にどんな意図があるのか」といった、絵本では描かれなかった謎や世界観まで網羅。なので、絵本を読んだことがある人も新鮮な感覚で鑑賞できるし、子ども向けにとどまらない壮大さと深みのある物語に没頭させられます。

©西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

そして物語の軸となるのは、亡き父への愛情を重ね合わせながら星の存在を信じるルビッチの熱い思い。「星なんてない」「探してもムダ」とバカにする人々に対して、ルビッチは「あの煙の向こう側を誰か見たのか? 誰も見てないだろ。だったらまだ分からないじゃないか!」と自分に言い聞かせるようにタンカを切ります。

この叫びは、常識外れな夢を語る人や、周りと違うことをしようとする異端児がバッシングされやすい現代社会へのアンチテーゼのよう。そして、夢をあきらめそうになっている人たちの心に強く刺さるエール。自らの言葉を証明すべく冒険にチャレンジするルビッチの奮闘ぶりに胸が熱くなり、自分を信じる心の大切さと、一歩踏み出してスタートする勇気をもらえた気がします。

また、冒頭とクライマックスには『インディ・ジョーンズ』風のハラハラドキドキさせるアクションもあり、まさに全編が感情のジェットコースター状態! 絵本という“静の世界”を血の通った“生きた世界”へとアップデートした、躍動感タップリな娯楽映画として飽きさせません。

いつも隣にいて、周りを気にせず応援する──それが友達

そしてもう一つの心を揺さぶるポイントが、嘘つき呼ばわりされてひとりぼっちになったルビッチと、化け物扱いされて友達がいないゴミ人間プペルという、似た者同士の2人が交わす友情のドラマです。

©西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

友達という概念すら知らなかったプペルが、ルビッチと出会うことでその意味を理解していき、そしてついには喧嘩しても「友達ですから」と許し合えるようになる。そんな2人の素晴らしい関係を見ていると、友情って何だろう?自分の本当の友達って誰だろう?と考えずにいられません。また、ルビッチの夢を心から信じて純粋に応援するプペルの姿にも、友達や身近にいる大切な人への接し方を改めて考えさせられることでしょう

こうしたキャラクターの心の機微が熱く胸に刺さるのは、ルビッチ役の芦田愛菜&プペル役の窪田正孝から脇役キャラに至るまで、アニメ映画とは思えないほど豪華な実力派キャストの熱演があってこそ。誰もが本職の声優に負けないほど役にハマっていて、特にルビッチの声は言われなければ芦田愛菜だと分からないほど。“役を生きている”ように成りきる妥協のなさに脱帽します。

周りに流されることなく夢をあきらめずに追う“信じる心”の大切さ、そしてどんな時でも純粋に支え合える友達の大切さを教えてくれる、感動必至のファンタジー。ぜひ親子で一緒に鑑賞してみてください。

『映画 えんとつ町のプペル』(2020年) /日本/ 上映時間:100分
配給:東宝、吉本興業
全国劇場で上映中
©西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会