夫婦の課題を乗り越えるヒントに!ドラマ『逃げ恥』新春スペシャル版から学ぶ家庭円満のコツ

夫婦の課題を乗り越えるヒントに!ドラマ『逃げ恥』新春スペシャル版から学ぶ家庭円満のコツ

夫婦円満

目次[非表示]

  1. “契約結婚”から本当に“結婚”したみくりと平匡が直面した課題とは?
  2. パパは育児のサポーターではなく“当事者”
  3. 男性の育休は当然の権利
  4. “男らしさ”に縛られず、自分の弱さをパートナーにさらけ出す
  5. 家事育児は周りの力を借りればいい
  6. 理想という未来のゴールに縛られず、家族との今を楽しむ

“契約結婚”から本当に“結婚”したみくりと平匡が直面した課題とは?

女性との交際経験ゼロの敏腕システムエンジニア・平匡と、院卒なのに就職に失敗し派遣契約も切られた無職女性みくり。そんな2人が「家事代行の雇用主=夫」「従業員=妻」 という契約夫婦になり、一つ屋根の下で暮らしながら恋を育んでいく様を描いた『逃げるは恥だが役に立つ』(以降『逃げ恥』)。主題歌の「恋ダンス」と共に社会現象を起こした連続ドラマのその後が、『ガンバレ人類!新春スペシャル‼』として2021年1月2日にオンエアされ再び話題を集めました。
『逃げ恥』が絶大な支持を集めた理由は、「ムズキュン」というキーワードに象徴されるラブコメとしての魅力だけではありません。家事という無償労働の給料換算など昔ながらの慣習に鋭くツッコミを入れ、さらに契約夫婦であるみくりと平匡の関係性を通じて理想の夫婦像を模索することで、実際に現代社会で生きづらさを感じている大人たちに共感されたからでもあります。

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そうした社会のモヤモヤを「見える化」するスタンスは今回のスペシャルドラマでも健在で、多くの問題提起が投げかけられました。契約結婚から正式に結婚したみくりと平匡は、夫婦生活のどんな課題と向き合ったのか? そして自分たちなりの答えをどのように見つけ乗り越えていったのか? ドラマで取り上げられた数々のテーマに注目しながら、パパママたちが実生活で直面している困難の解決につながるメッセージをクローズアップします。

パパは育児のサポーターではなく“当事者”

まず冒頭では、みくりと平匡の共働き夫婦としての生活が描かれます。最大の課題である家事分担は、「朝早く家を出る方が洗濯機を回し、遅く出る方が洗濯物を干し、早く帰る方が取り込む」といった、お互いの働き方に合わせて無理なく連携。そして面倒な家事はお互い半々に。ここで興味深かったのが「頑張ったことは報告(アピール)する」という取り組み。面倒なタスクを遂行してくれたパートナーの頑張りを、こうした報告システムを通じて実感できれば、自然とお互いに感謝し合うことができそうですね。

2人は選択的夫婦別姓の制度化を待って入籍していませんでしたが、みくりの妊娠をきっかけに正式に婚姻届を提出。改めて父親になる責任感が湧いてきた平匡は、みくりに対して次のような意気込みを無意識に発してしまいます。
「子どもが生まれるにあたって、僕は全力でみくりさんをサポートします! 何でも遠慮なく言ってください」
男性の家事育児参画意識が高まっている昨今ですが、こうした「家事育児は女性がメインで、男性は手伝う(指示を待つ)立場」というサポーター意識はまだまだ根強く残っている模様。当然、みくりはすかさず異を唱えます。
「手伝いなの? 一緒に親になるんじゃなくて? 私だって子どもを産むのは初めてなのに。一緒に勉強して親になって…夫婦ってそういうことじゃないんですか?」
みくりが言うように、夫も妊娠期から妻と一緒に子育ての知識を増やして“パパになる準備”を進めていけば、いざ子どもが生まれてから「何をしたらいいの?」とアタフタせず、ママに劣らぬ戦力として子育てで活躍できます。また、育児の大変さを早い時期から夫婦で共有していれば、「男性は女性の家事育児を手伝えば十分」という意識も生まれないはず。出産は夫婦が一緒に親になるスタートライン──プレパパはぜひ肝に銘じておきましょう。

男性の育休は当然の権利

共働き夫婦にとって妊娠・出産にまつわる苦労の一つが、産休・育休の取得。本来なら妊娠はおめでたいことなのに、女性社員が仕事に穴を開けないよう「出産の順番待ち」をしている状況で自分が育休を取ることに、みくりは後ろめたさを感じます。

一方の平匡も出産前後に1カ月間の育休を申請しようとしますが、プロジェクトリーダーに次のように苦言を呈されます。
「男が育休取ったって、やることなんてないよ。男なら1週間が妥当なライン。1カ月も取ってそれが前例になってみんなが休むようになったら仕事になんないよ」
「子育ては女性の仕事」という昔ながらの価値観がありありと伺える典型的な台詞ですが、実際にそうした家庭環境で育った昭和世代の管理職には、同じような価値観を受け継いでいる人も少なくなさそう。近年は男性の育休取得への関心が高まっているにもかかわらず、2019年度の男性育休取得率は前年度比1.32ポイント増の7.48%(※)にとどまりました。会社に制度はあっても育休を取りづらい職場の空気が大きく影響しているものと思われます。
※厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査」

基本的に「おっぱいをあげる」以外の育児はパパにもできるし、体力が落ちた産前産後のママをケアするためにもパパの育休取得は効果絶大です(ちなみに原作コミックでは「育休は休みではなく、(親としての)試行・実践期間・訓練期間なんです」という台詞で、男性が育休を取得する意義を強調しています)。

会社の制度にのっとって仕事を休むのは当然の権利なので、もし職場で男性が育休を取得している例が少なくても気後れせず、「自分が前例になればいい」ぐらいの意気込みで堂々と育休を申請してはいかがでしょうか。

“男らしさ”に縛られず、自分の弱さをパートナーにさらけ出す

みくりの妊娠を知らされた平匡の父は、息子に対して次のようにハッパを掛けます。
「家族が増えるということは、責任が増えるということ。家族を養う大黒柱として、今まで以上に責任を持ってしっかりせにゃいけん」
こうした「男性は大黒柱=有償労働者として外で働き、女性は無償労働者として家事育児に携わる」という性別分業もまた、共働き世帯が増加した今では前時代的な価値観ですね。もちろん平匡も「大黒柱って古いんじゃないかな。僕たちは夫婦2人の責任でやっていく」と否定しますが、この昭和的価値観は“男らしさ”という別の概念で現代の男性たちを縛っています

育休前に引き継ぎを完了するため休日返上で働く一方、妊娠後期でお腹が大きくなり満足に動けないみくりの分まで家事に励まなければいけない平匡。泣きたいぐらいハードなのに、「男らしく、父親らしくあらねば」と無意識に自分を追い込み、弱音をこぼすことができない。その結果、不安やストレスがたまっていくばかり…。こうした平匡の苦悩に「自分も思い当たるところがある」とちょっとでも感じたら、自分が“男らしさ”という鎖に縛られていないか一度見つめ直してみましょう

男性だって女性だって、職場や家庭で「辛い」と思う時はあります。そんな時は弱音を恥だと思わず、よき理解者であるパートナーに「辛い」と伝えてみてください。たとえそれが根本的な問題解決につながらなくても、辛さを受け止めて共感してくれる相手がいるだけでも気持ちが救われ、明日への一歩を踏み出す力を得られるはずです。

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家事育児は周りの力を借りればいい

出産予定日が迫ると家の中はますます荒れ果て、もはや平匡の孤軍奮闘も限界に…。そんなある夜、平匡が重い気分で帰宅すると部屋はピカピカ。みくりが家政婦を頼んでキレイにしてもらったのです。あっけに取られている平匡を諭すように、みくりは次のように語りかけます。
「子どもを産んでからも、どうしようもない時があるかもしれない。そんな時は周りの手も借りてやってみませんか」
特に共働き世帯の場合、夫婦が家事育児に注げる労力にはどうしても限界があります。それでも「自分で何とかしなきゃ」と抱え込んでしまうと、いつかキャパオーバーでパンクしてしまうかもしれません。そうなる前に、実家の両親・家事代行・シッター・便利家電など得られるサポートは何でも利用するようマインドをリセットしてみませんか。

家事代行などの有償サービス以外にも近年は、地域住民同士で育児をサポートし合う「ファミリー・サポート・センター事業」も整備されているので、コストや使い勝手など自分の家庭に合ったリソースを見つけて多忙な日々を乗り越えましょう。

理想という未来のゴールに縛られず、家族との今を楽しむ

子どもが生まれて間もなく新型コロナウイルスが蔓延し、感染が心配になったみくりは娘を連れて千葉の実家へ疎開することに。母との会話の中でみくりは「理想の父親になりたい」という平匡の言葉を思い出し、その言葉を母に伝えたところ次のようなアドバイスを受けます。
「理想を持つのはいいけど疲れるよ。子育てってゴールが見えないんだから。ゴールを持つより過程を楽しめば?」
将来を見すえて中長期的なライフプランをデザインし、目標の実現に努めるのは素晴らしいことですが、未来の目標に縛られすぎて日々我慢ばかりしていては本末転倒。それに、ゴールが遠い育児において理想を追求し頑張り続けていると、「こんな大変なことが永遠に続くのか…」とプレッシャーを感じて疲れる一方です。

まして今は「明日どうなるか分からない」というコロナ禍の真っただ中。遠い将来や現実から背伸びした理想ばかりに目を向けるのではなく、肩の力を抜いて「今この瞬間を楽しむ」ことを優先し、妻や子どもとの何気ない日常を大切に過ごしてみませんか。きっとその積み重ねが、家族の道のりを豊かなものにしてくれるはずです。
「おかえり」「ただいま」そう言い合える毎日を──触れ合えるこの距離を──どうかこれからも、末永く
ドラマの最後を締めくくったこのテロップは、みくりと平匡の劇中でのセリフを用いたものです。 “現代社会の写し鏡”でもある『逃げ恥』のキャラクターたちが届けてくれた「今を生きよう」というメッセージをじっくり噛みしめ、家族との向き合い方を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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<作品情報>
『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!』
出演:新垣結衣、星野源、大谷亮平、藤井隆、真野恵里菜、成田凌、古舘寛治、細田善彦
モロ師岡、高橋ひとみ、宇梶剛士、富田靖子/古田新太/石田ゆり子
ゲスト:西田尚美、青木崇高、滝沢カレン、ナオト・インティライミ、池谷のぶえ、Kaito、前野朋哉、金子昇
原作:海野つなみ「逃げるは恥だが役に立つ」
主題歌:星野源「恋」
番組HP http://www.tbs.co.jp/NIGEHAJI_tbs/

■見逃してしまった!という人はTVerの見逃し配信をチェック
https://tver.jp/feature/f0064788