『新聞記者』『孤狼の血』│己の正義を貫く者たちの熱い戦いに魂が震える!

『新聞記者』『孤狼の血』│己の正義を貫く者たちの熱い戦いに魂が震える!

趣味・遊び

目次[非表示]

  1. 『孤狼の血』│悪漢か?ダークヒーローか?はみ出し刑事の暴走が新人刑事の正義を試す
  2. 『新聞記者』│一人の記者が追う官邸の巨大な闇──これはフィクションなのか?
反町隆史が自ら主演したドラマの主題歌で「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」と歌ってから20数年。今ではSNSが広く普及し、自らの意見を自由に発信できるようになりましたが、だからといって「何でも言える世の中」になっているかというと疑問符が付きます。

家族に対して、会社に対して、政治や社会に対して…自分が「こうしたい」「これが正しい」と思っていることを面と向かって言えず、モヤモヤとした思いを抱えている人は少なくないでしょう。

今回は、そんなジレンマに立たされている人たちをスカッとさせてくれる“勇気ある戦い”を描いた映画を2本ご紹介しましょう。日本アカデミー賞の2019年度4部門受賞作『孤狼の血』と、2020年度3部門受賞作『新聞記者』。2作品に共通するキーワードは“己の正義を貫く者たち”です。

『孤狼の血』│悪漢か?ダークヒーローか?はみ出し刑事の暴走が新人刑事の正義を試す

© 2018「孤狼の血」製作委員会

『孤狼の血』は、広島の架空の都市・呉原を舞台に、「警察小説×『仁義なき戦い』」と絶賛された柚月裕子の同名小説を映画化した作品です。二大暴力団の抗争が激化する中、暴力団関連の金融会社社員が失踪。県警から呉原東署に配属された新人刑事の日岡(松坂桃李)は、ベテラン刑事の大上(役所広司)に同行する形で事件の捜査にあたります。

ところがこの大上が、とても刑事とは思えないほどのアウトロー! 暴力団からの賄賂を平気で受け取り、捜査においても恫喝・暴力・放火と何でもあり。ベテラン刑事のハチャメチャな捜査を目の当たりにした新人刑事が不信感を募らせていくという構図は、デンゼル・ワシントン主演作『トレーニング デイ』を彷彿とさせますが、広島弁で浴びせる罵声や容赦ないバイオレンスシーンが応酬する本作の方がはるかに衝撃的。全編アドレナリンが出っぱなしの興奮モノです

しかし、大上も無節操に暴走しているわけではありません。カタギが安心して暮らせるよう、暴力団を抑え込む──この己に課した使命を果たすには、優等生のように警察のルールを守っていては到底不可能。だから「警察じゃけぇ、何をしてもいいんじゃ」と手段を一切選ばないわけです。その怖いもの知らずな姿は、役所広司のキレキレの演技と相まって、ダークヒーローのような魅力を放ちスカッとさせてくれる!

はみ出し刑事の大上がダークヒーローという憧れの対象なら、松坂桃李が演じるまっとうな新人刑事・日岡は、私たちが自分と重ねやすい等身大のキャラクター。大上のやりたい放題に反発しつつ、ルールに縛られていては正義を守れないのも理解している──そうした葛藤は日岡ならずとも誰もが抱く感情。その中で、大上の“実地訓練”を体験するうちに野性を覚醒させていく日岡の変貌ぶりに感情移入せずにいられません。

昭和のヤクザ映画の香りを漂わせつつ、刑事を主人公にすることで“正義のあり方”という普遍的なテーマを問いかける、熱い男たちの死闘とドラマをぜひ見届けてください。

『孤狼の血』(2017年) /日本/ 上映時間:126分
■Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/81038312

『新聞記者』│一人の記者が追う官邸の巨大な闇──これはフィクションなのか?

© 2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

もう1つご紹介する『新聞記者』も、奇しくも松坂桃李出演作(本作で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞)。政府の不正を容赦なく追及するスクープで名を上げた東京新聞記者・望月衣塑子の同名ベストセラーを下敷きに、完全オリジナルストーリーで描き出した超骨太な社会派映画です

高名なジャーナリストを父に持つ東都新聞の敏腕記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)は、大学新設計画に関する極秘情報を匿名のFAXで知り、真相を突き止めるため取材活動を重ねていく。その一方、内閣情報調査室のエリート官僚・杉原(松坂桃李)は、現政権に不都合なニュースをコントロールし、危険人物を陥れるためなら事実に反したマスコミ工作も許される自らの職務に葛藤を募らせる。そんな2人の歩みが運命的に交錯することで、やがて国を揺るがす衝撃の事実が明らかになるのです。

本作でエリカが追及する不正や、杉原ら官僚がSNSを駆使して印象操作を行うターゲットは、明確には特定されていないとはいえ、今も記憶に残る“あの事件”をありありとイメージさせるもの。表向きはフィクションではあるものの、身近な世界の出来事として感じずにはいられません。だからこそ、本作で描かれる国家の闇にリアルに震撼させられ、どんな圧力や忖度にも屈さず社会正義のために信念を貫くエリカを応援したくなるはず

エリカの勇気ある取材活動と対を成す形で印象的に描かれているのが、官邸によるダーティな情報操作。杉原の目線を通じて不気味かつ非情に映し出されるその実態は、誰が見ても「これはおかしい」「やりすぎ」と義憤を抱くはず。新聞記者とエリート官僚という相容れない立場の2人が組んで国家の闇を暴こうとする戦いを、いつ圧力に押しつぶされないかハラハラドキドキしながら、その覚悟に胸を熱くさせられることでしょう。

現代社会を鋭くとらえ、“今そこにある日本の暗部”に切り込む正義感と覚悟──。見る者の首根っこをつかんで「目を覚ませ」「立ち上がれ」と呼びかける、骨太な社会派エンターテインメント映画をとくと目に焼きつけてください。

『新聞記者』(2019年) /日本/ 上映時間:113分
■Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/81258660