
風疹が再び首都圏を中心に流行。妊婦がいるご家庭は特に注意を【2019年版】
2013年に約1万5千人もの患者が出て全国的に流行した風疹。その後、患者数は年々減少傾向にありましたが、2018年には風疹患者の報告数が2917人に急増。
今年に入ってからも流行は収まらず、3月24日までに報告された累計患者数が1033人になったと国立感染症研究所が発表しました。
なお、都道府県別の累積患者数では東京都が最多で309人。続いて神奈川県が140人、千葉県が99人、埼玉県が64人と首都圏で報告数が多く上がっています。
<最新発生報告数についてはこちら>
■風疹急増に関する緊急情報(2019年)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella.html
特に30〜40代の男性に多い風疹患者
3月27日現在の報告によると、男性の風疹患者数は女性の3.6倍も多く、そのうち30〜40代が多くを占めていたと厚生労働省は発表しています。
報告患者の94%(974人)が成人で、男性が女性の3.6倍多い(男性809人、女性224人)。
男性患者の年齢中央値は40歳(0〜75歳)で、特に30〜40代の男性に多く(男性全体の60%)、女性患者の年齢中央値は30歳(0〜69歳)で、特に妊娠出産年齢である20〜30代に多い(女性全体の66%)。
こうした発症状況について国立感染症研究所では、過去にワクチンを受けておらず、風疹ウイルスに感染したことがない、抗体を保有していない成人男性が多いことが主な原因と見ています。
今回報告を受けている風疹患者の中心は、過去にワクチンを受けておらず、風疹ウイルスに感染したことがない、抗体を保有していない集団である。
予防接種法に基づいて、約5,000人規模で毎年調査が行われている感染症流行予測調査の2017年度の結果を見ると、成人男性は30代後半(抗体保有率(HI抗体価1:8以上):84%)、40代(同:77〜82%)、50代前半(同:76%)で抗体保有率が特に低い。
風疹の症状について
風疹の主な症状は下記のようになります。
・感染から14〜21日(平均16〜18 日)の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭部、頚部)が出現するが、発熱は風疹患者の約半数にみられる程度である
・多くの場合、発疹は淡紅色で、小さく、皮膚面よりやや隆起しており、全身に広がるにはさらに数日間を要することがある
・リンパ節は発疹の出現する数日前より腫れはじめ、3〜6週間位持続する
・カタル症状、眼球結膜の充血を伴う
・高熱が持続したり、血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)、急性脳炎(1/4,000〜6,000人)などの合併症により、入院が必要になることがある
・成人では、手指のこわばりや痛みを訴えることも多く、関節炎を伴うこともある(5〜30%)
妊婦さんがいるご家庭は特に注意を
妊婦さんが風疹にかかるとお腹の赤ちゃんに影響が出る可能性があります。妊婦さんはワクチン接種が受けられないので、本人はもちろん周りの家族も十分な注意が必要です。
・風しんウイルスの感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。
・妊娠初期(20週以前)に風しんにかかると、胎児に感染し、赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風しん症候群を持ってうまれてくる可能性が高くなります。
・妊娠前であれば未接種・未り患の場合、ワクチン接種を受けることを積極的に検討すべきですが、既に妊娠しているのであればワクチン接種を受けることが出来ませんので、風しんが発生している地域では可能な限り外出を避け、人ごみに近づかないようにするなどの注意が必要です。
風疹の予防のためにワクチン接種を
妊婦さんはワクチン接種が受けられません。そのため、近くにいる家族、周りの人の予防が大切です。特に、前述のように公費によるワクチン接種の機会が少なく、十分な免疫を持たない30〜50代男性の風疹患者が多く報告されているので要注意です。
自分や家族がワクチンを接種する必要があるか風疹抗体検査で確認し、必要があれば積極的にワクチンを接種してください。
風しんの予防のためには、予防接種が最も有効な予防方法といえます。
予防接種法に基づく定期の予防接種については、2回の接種をそれぞれ95%以上の人に受けていただくことを目標としていますが、医療・教育関係者や海外渡航を計画している成人も、風しんのり患歴や予防接種歴が明らかでない場合は予防接種を検討してください。
風しんワクチン(主に接種されているのは、麻しん風しん混合ワクチン)を接種することによって、95%以上の人が風しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。
また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。さらに、接種後年数の経過と共に、免疫が低下してきた人に対しては、追加のワクチンを受けることで免疫を増強させる効果があります。
定期接種の対象者は、1歳児、小学校入学前1年間の幼児ですが、定期接種の時期にない人で、「風しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない人」は、かかりつけの医師にご相談ください。
(なお、過去の制度の変遷から、定期接種の対象については、平成2年4月2日以降に生まれた人は2回、昭和54年4月2日〜平成2年4月1日に生まれた人は1回、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は0回です。)
また、妊娠を希望する女性や、抗体を保有していない妊婦の家族のうち、今までに明らかに風しんにかかったことのない人も、抗体検査を受けて、抗体価が低い場合には接種を検討しましょう。
家族の健康を守るために、日頃から予防接種や定期的な健診が大切です。
もしまだ風疹の抗体検査を受けていない方がいれば、かかりつけ医や自治体の制度があるか確認し、ぜひこの機会に積極的に検査、ワクチンの接種を受けることを強くおすすめします。