
毎日使うからこそメンテナンスは欠かせない!革財布のお手入れ術
日々の生活用品や趣味のこだわりアイテムなど、大切なモノを長く愛用し続けるために必要な“お手入れ”術を、各アイテムの取り扱いを熟知した専門家たちに解説していただく「こだわり品のお手入れ術」。
第5回のテーマは「財布」。革鞄や小物を仕立てる「土屋鞄製造所」に、革財布と長く付き合うために気をつけたいことや日常的なメンテナンスを解説いただきます。
愛情をもって目を掛ける“観察”のススメ
男性にとってのこだわりアイテムの中でも、オン・オフ問わず持ち歩く財布は特に使用頻度が高いのではないでしょうか。
ただし、あまりにも毎日手にするモノゆえ、自分の財布が今どんな状態かいまいち把握しきれず、傷んでいることに気づかないまま使い続けている方もいるかもしれません。
財布を長持ちさせるための基本であり最大のコツ。
それは、箱から初めて取り出して新品を手に持った時に「よし、大事にしよう」と思った初心を忘れず、愛情をもって財布の様子を気に掛けること。毎日気に掛けていると「ここが傷んできたな」と変化に気づくことができます。
革は、手を掛ければ掛けただけ応えてくれます。使う際にちょっと観察したり、1日の終わりに汚れを確認してからしまうよう習慣づけると、財布の持ちがずいぶん違ってくるはずですよ。
財布ならではのダメージを与える原因とは
革財布を長持ちさせるために気をつけたいダメージ要因は、前回の「鞄のお手入れ術」で解説したように、主に次の3つとなります。
1. 汚れ
2. 水・湿気
3. 型崩れ
いずれも日常的に財布を使っていると生じるダメージばかり。では、それぞれのダメージ要因がどのように生じるのかを改めて検証しながら、その対策を解説していきましょう。
■手から付く汚れは乾拭きで毎日落とす
毎日手に取って使う財布には、どうしても手の汗や垢が付いてしまいます。ただしこれらを放置していると汚れが蓄積される一方で、少しずつ黒ずみが出来てしまいます。
そうならないためにも、1日の終わりに柔らかい布でササッと乾拭きすることをオススメします。このとき、財布をちょっと観察しながら拭くと、早い段階で革の変化に気づくことができますよ。
■防水スプレーで水濡れを防止
革にとって水は大敵で、濡らすと水ぶくれや色落ちを引き起こしてしまうことも。手を洗った後や雨の日に財布を手に持ったり、あるいはいくら気をつけていても、カバンの中で折り畳み傘やペットボトルの水滴に触れることで濡らしてしまう場合もあります。
普段から財布が濡れないよう万全の取り扱いを心がけながら、「防水スプレー」を掛けておくことをオススメします。
まずは乾拭きで財布のホコリを落として、約30cmの距離から水平方向に動かしながら全体がしっとりと濡れる程度にスプレーを噴霧。20〜30分ほど乾燥させ、完全に乾いたら柔らかい布で軽く乾拭きして馴染ませてください。
※初めて防水ケアを行う際は、目立たない部分で試してからご使用ください
※防水スプレーごとに使用方法が異なる場合があるためご注意ください
■財布は尻ポケットではなくバッグで持ち歩こう
尻ポケットに財布を入れて持ち歩く方がいますが、尻ポケットに入れ続けていると財布が大きく反り、型崩れが起きてしまいます。
さらにポケット内の湿気や汗が原因で革の表面に水ぶくれが生じる場合もあるので、普段はできるだけバッグのポケットに入れて使いましょう。
ちなみに、長財布や二折財布で半分に折れてカーブしている部分など、革が曲がっていて頻繁に動かす箇所も特にダメージを受けやすかったりします。
このような箇所はオイルケア(「「鞄のお手入れ術」記事参照)を念入りに施し、革を乾燥から防いでややウェットな状態にしておくと、革が傷みにくくなりますよ。
毎日手に取って使う革財布だからこそ、革ならではの上質な触り心地や風合いを長く保っておきたいもの。
ちょっと手が掛かるように感じるかもしれませんが、お気に入りの革財布と長く付き合うためにも、できることから始めてみてください。