
『ベン・イズ・バック』 | どんな時でも子どもを信じて味方になれるのは親だけ
思春期・反抗期の子どもとどう向き合えばいいのか?
小さい頃は何でも素直に言うことを聞く子どもたちも、成長し思春期を迎えるにつれて自我が芽生え、大人の思い通りに行動してくれなくなっていくもの。
何かと反発する態度に手を焼いたり、親の目の届かないところでの自由奔放な振る舞いにヒヤヒヤしている方も少なくないことでしょう。
思春期・反抗期の子どもとどう向き合えばいいのか? そんな迷えるパパママにとって子育てのヒントになる映画をご紹介します。
5月24日(金)に劇場公開される、ジュリア・ロバーツ主演の家族ドラマ『ベン・イズ・バック』です。
大切な息子を全力で守る──絶対あきらめない母の愛
クリスマスイブの朝、薬物依存症の治療施設から抜け出した息子ベンが何の前触れもなく実家に戻るところから物語はスタート。母ホリーは突然の再会に無条件で喜びますが、過去に薬物絡みの騒動でさんざん迷惑を掛けられた継父や妹の視線は冷たい。
ホリーが間を取り持つ形で、ベンは1日だけ家族と過ごすことを認められますが、かつて手を染めた薬物の誘惑や暗い交友関係が徐々に彼を追い詰める…。
そんな苦しむ息子をホリーは決して見捨てず、自分の手に負えない逆境に陥ってもなお全力で守ろうとします。
この説明だけだとホリーは高潔でパーフェクトな母親のように感じられますが、彼女はすべてにおいて正しい人物ではありません。
危険なことやモラルに反したこと、あるいは「子どもを甘やかすことになるのでは?」と感じさせる選択もしてしまい、良識的な継父に諭されることも。
それでも彼女は子どもを守るという信念においては一貫してブレず、「何か子どものためになることをして(与えて)あげたい」という、親なら誰もが抱く願いを迷わず行動へと移すのです。
これまでにも『ギルバート・グレイプ』など何かしらの欠点を抱える人々の家族模様を綴ってきたピーター・ヘッジズ監督は、アルコールと薬物の依存症に苦しんだ自身の家族に対する想いを、物語のインスピレーションにしたそうです。
監督の実体験に根ざしたキャラクターたちの心情は、ジュリア・ロバーツら実力派俳優の熱演と相まって生々しい切迫感が宿り、誰もが「もしも自分だったら…」と我が身に置き換えて鑑賞せずにはいられません。
子育てで失敗したりぶつかり合うことを恐れないで
そうやって主人公一家に感情移入しながら鑑賞するうちに
「子どもへ注ぐ愛情のカタチに正解はあるのか?」
「愛情と厳しさの境界線とは?」などの疑問について考えさせられることでしょう。
反抗したり過ちを犯す子どもに対して、親が100%完璧なケアを行って正しく導くことは限りなく困難。下手すると何か対応することで火に油を注ぐため、「いっそ何もしないでおこう」と突き放したくなる…。
そうやって“ぶつかり合うこと”をあきらめてしまう前に、ぜひこの作品を見てください。
たとえ愛情のカタチに正解がなくても、子どもに無償の愛を注ぎ、どんな時でも味方になって手を差し伸べられるのは親だけなのですから。
正解のない子育てに正面から向き合い、たとえ正解でなくても自分たちがベストと思える選択を実行する──ジュリア・ロバーツが全身全霊で体現する親子愛について夫婦で語り合い、ぜひご自身の子どもへの接し方の参考にしてください。
『ベン・イズ・バック』(2018年) /アメリカ/ 上映時間:103分
5月24日(金)全国ロードショー
© 2018-BBP WEST BIB, LLC