
『ビフォア・ミッドナイト』 | いつか訪れる倦怠期…夫婦の絆が試される
最近、妻と会話していますか?
どれほど熱烈に愛し合い結婚した男女でも、その情熱を永遠にキープし続けるのは難しい。どの夫婦にもいつかは倦怠期が訪れるものです。
そういえば最近妻との会話が減ったな…そんな夫婦に見てほしい作品が、イーサン・ホーク&ジュリー・デルピー主演のラブロマンスシリーズ第3作『ビフォア・ミッドナイト』です。
運命で結ばれた2人にも訪れた倦怠期
列車で偶然出会ったアメリカ人ジェシーとフランス人セリーヌが、旅先のウィーンで一夜限りの恋に落ちる『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』。9年後にパリで再会した2人が、限られた短い時間で互いの想いを確かめ合う『ビフォア・サンセット』。
そして本作では、ついに結婚し双子の娘も授かり、家族でギリシャ休暇を過ごす2人が描かれています。過去2作の情熱的なロマンスを振り返れば、夫婦生活もさぞ順風満帆…と思いきや、互いが抱える悩みのせいもあってどこかすれ違い気味。
『ビフォア』シリーズの魅力といえば、ウィットを交えて本音をぶつけ合う、テンポよく延々と繰り広げられる会話の妙。本作でもジェシーとセリーヌは数年ぶりに2人きりになれたホテルの一室で、それまで抑えていた互いの本音を生々しくむき出しにします。
その会話は前2作のようにロマンティックなムードとは程遠く、昔の2人を知る者にはショックかもしれません、でも、“運命で結ばれた2人”でさえ夫婦関係の危機からは例外でいられない、ということなのです。
何でも言い合えてこそ夫婦の絆は深まる
それでも単なるドロドロ劇で終わらないのが『ビフォア』シリーズの真骨頂。
とことん本音をぶつけ合いケンカしたジェシーとセリーヌは、日が落ちた海辺のカフェで、とてもロマンティックな方法で仲直りしようとします。そのやり取りに心がほんわか温かくなることでしょう。
互いを対等なパートナーとして尊重し何でも言い合えれば、たとえケンカになっても夫婦の絆が深まっていくはず。逆にケンカを避けるため本音をガマンしてため込む方が、ある日突然不満が大爆発してしまうため危険です。まずはどんな話題でもいいので、会話の時間を増やしてはいかがでしょうか。成熟した夫婦になるヒントを、ジェシーとセリーヌのやり取りから見つけてください。
<作品情報>
『ビフォア・ミッドナイト』(2013年) /アメリカ / 上映時間:108分
© 2013 - Sony Pictures Classics
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