【子どもの性教育】「ねえ、パパ、セックスってなに?」と聞かれたら ~チャレンジ!我が子への性教育~

【子どもの性教育】「ねえ、パパ、セックスってなに?」と聞かれたら ~チャレンジ!我が子への性教育~

教育

目次[非表示]

  1. 性教育とは「自分を大切にする教育」
  2. 性教育の注意点
  3. 絵本やサイトを活用しよう
  4. 子どもが性暴力から身を守るために ~「気をつけなさい」では防げない
  5. 相手との境界線を教える性教育
  6. 子どもへの性暴力の特徴
  7. 普段から心がけておきたいこと
毎日の暮らしの「困った!」に役立つ技やコツをご紹介する連載「目指せ我が家のHERO!家族を助ける特技を作る」。今回のテーマは「子どもの性教育」です。

子どもがふと投げかけてくる性への疑問に対して、つい照れてしまって質問に答えられないことはありませんか? そこで今回は、パパが家庭で性教育を行うためのポイントや注意点を、スクールカウンセラーの経歴を持つ臨床心理士の福田由紀子さんに解説していただきます。

性教育とは「自分を大切にする教育」

3歳頃になると子どもは男女のからだの違いに興味を持ち始めます。「どうしてパパにはおっぱいがないの?」とか「わたしのちんちんはいつ生えてくるの?」といった色々な質問をされることでしょう。下の子を妊娠した時や、妊婦さんを見た時に、「赤ちゃんはどうやってお腹に入ったの?」といった質問を受けるかもしれませんね。自分はどうやって生まれたのか?というのは、子どもにとって自分の存在を問う大問題です。

自分のからだについて知るのに、早すぎるといったことはありません。性器についても同じです。自分の身体に「タブー」を作らないことは、自分を大切にしていくことにつながります。

とはいえ、性教育はハードルが高いと思っている人は多いのではないでしょうか。自分自身、性教育をまともに受けたことがないし、親としてどのようなことをどんなタイミングで教えればいいのかわからない。特に娘に対して戸惑ってしまう、というパパの困惑もよく耳にします。

我が子から、キラキラした瞳をまっすぐに向けられて、「ねえ、パパ、セックスってなに?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか? うまく答えられるでしょうか?

性教育の注意点

子どもから性に関する質問を受けた時は、ニヤニヤしたり照れたりせず、「人体についての科学的な質問」だと受け止めて、まじめにサラリと答えましょう。子どもは純粋な好奇心で聞いているからです。

NGなのは、「大人になればわかる」「まだ知らなくていい」とはぐらかしたり、「そんなこと聞くもんじゃない!」と怒ることです。過剰な反応が返ってくると子どもは驚きますし、「聞いてはいけないようなことなんだ……」と思ってしまいます。それがいずれ性に対する罪悪感や後ろめたさにつながってしまうのは残念なことですよね。すぐに答えられないときは「どこでその言葉を知ったの?」とか「どうして知りたいの?」と尋ねてみるといいでしょう。

答え方に「正解」はありませんが、たとえば、「男の人と女の人が、赤ちゃんがほしいと思った時にすることだよ」とか「子どもを作るための、動物の交尾と同じだよ」とか「大人になってから、大好きな人とする、とても素敵なことだよ」とか、子どもの個性や発達段階を考慮して、自分の言葉で伝えられるよう考えてみましょう

「パパとママもセックスしたの?」という質問には、「もちろんだよ。だから君が生まれたんだよ。君が生まれた時は本当に幸せだったよ」というふうに答えてあげられるといいですね。

絵本やサイトを活用しよう

子どもには正しい知識を持っていてほしい、でも、自分ではうまく説明する自信がない……。そんな時に、助けてくれるのが、性教育の絵本です。子どもの目につくところに置いておけば、自分で読んで正しい知識を身につけてくれます。読み聞かせの中で、一緒に話し合うのもいいですね。
この本では、男女のからだの違いや、大人のからだへの変化、性器の洗い方、月経や射精といった「からだ」について学べます。また、「いのち」がどのように生まれて終わるのか、「わたしとみんな」のかかわりや、性被害や性的ないじめについても取り上げています。おとな向けの解説編もありますので、子どもに伝える時の参考になるでしょう。

性教育のサイトもあります。「セイシル」というサイトでは、産婦人科医や助産師、性被害にあった人の支援を行っている人など、様々な分野の専門家が子どもたちからの性に関する質問に答えています。質問は、からだのこと、恋愛・セックス、マスターベーション、性暴力などに分類されていて、子どもにもわかりやすい言葉で回答されています。ここで、子どもへの答え方を勉強してもいいですね。

性教育を難しいと感じる人が多いのは、「性的な存在」としての自分の在り方を問われるからです。性を「恥ずかしいもの」「いかがわしいもの」「汚いもの」と思っていれば、それは子どもに伝わります。女性観(男性観)やセックス観についても。

自分は、自分の心やからだを大切にできているだろうか? パートナーを対等な存在として大切にできているだろうか? 性のことをパートナーと率直に話し合えているだろうか? と、親がまず自分に問うてみることも、性教育の大事なスタートです。

子どもが性暴力から身を守るために ~「気をつけなさい」では防げない

性教育は、性や生殖についての正しい知識を身につけるだけではなく、お互いに尊重し合う関係性を学ぶものでもあります。それは、性暴力から身を守ったり、加害者にならないためにも役立ちます

幼い子どもが被害にあったニュースを見るたびに、我が子が被害にあったらと思うと、胸がつぶれそうになるパパも多いことと思います。我が子を性暴力から守りたいと思っても、具体的に何をすればいいのかわからないという人も多いと思います。

登下校時にひとりにならない、暗くなる前に家に帰る、知らない人にはついていかない、など、防犯意識を高めることは大切です。でも、「気をつけなさい」と言い聞かせておけばいいのかといえば、そんなことはありません。性暴力は、被害者がどれだけ気をつけていても、加害者がいる限り起こるからです。

注意喚起も必要ですが、「気をつけなさい」と言い過ぎると、子どもは、被害にあった時に親に言い出しにくくなります。被害にあったのは、自分の注意が足りなかったから、自分に落ち度があったからだと自分を責めてしまうからです。「だから言ったでしょ!」と怒られると思ってしまうのです。

性被害にあったとき、良くないことをされているということは子どもにもわかります。気持ち悪さや嫌悪感も抱きます。でも、「性」について知らなければ、子どもは語る言葉を持ちません。されていることの意味もわからなければ、うまく伝えることも難しいため、被害を訴えられず、適切なケアを受けられないことから、傷つきが長く人生に影響を与えることが少なくありません。

相手との境界線を教える性教育

何が性暴力になるのかを知っておくことは、子どもが自分の身を守るために必要です。
この本では、「口と、水着で隠れる場所は、自分だけの大切なところだから、さわっていいのは自分だけ」と教えています。「口と、水着で隠れる場所」は「プライベートゾーン」とも言いますが、自分のプライベートゾーンを見られたり触られたり、相手のプライベートゾーンを見せられたり触らされたりすることは「性暴力」なのだという定義を教えておくことはとても大切です。
この本は、カナダの小学校の副読本として使用されていた絵本です。子どもが自分で自分を守るために、6つの場面での具体的な対処法のほかに、被害にあった子どもへの接し方など親へのアドバイスも載っています

子どもが性暴力から身を守るために最も大切なのは、「自分を大切に思える心」です。自分は愛されている、大事にされていい人間だと思っている子どもは、境界線(プライベートゾーン)の侵害に対して「NO!」と言うことができます。親として、子どもをひとりの人間として尊重し、大切にし、愛すること。それが性犯罪者を遠ざけます。また、万が一被害にあった時の回復も助けます。

子どもへの性暴力の特徴

子どもへの性暴力は、子どもからの信頼を利用して行われます。女の子に限らず、男の子が被害にあうことも珍しくありません

なお、男の子が被害にあう場合も、加害者のほとんどは男性で、多くは顔見知りです。近所に住んでいる、よく遊んでくれる大好きなお兄ちゃんだったり、スポーツクラブのコーチだったり、兄や弟、いとこやおじなどが加害者になることもあるということを、頭のどこかに入れておきましょう。考えたくないことですが、可能性を否定すると、被害を見落としやすくなります。

見知らぬ人からの性暴力でも、子どもにとって親しみやすい雰囲気を持った加害者が多く、子どもへの性加害は、子どもに親切にしたり何かをあげたりといった、子どもの警戒心をなくすための「手なずけ行動」から始まることが特徴です

つまり、加害者は子どもにとって、「怖い人」「いやな人」ではない場合が多いのです。そのため、それまでの関係が壊れることを恐れたり、加害者の立場を心配して、被害を言い出せない子も多いのです。

普段から心がけておきたいこと

性暴力被害には、早く適切なケアが必要です。ですから、相手がどんな人であっても、嫌なことをされたら嫌と言っていいし、必ず親に話してほしいと、日頃から伝えておくことが大切です。

日本では、性暴力の被害者がバッシングされるという奇妙なことがいまだに起こっていますが、ニュースを見ながら親が被害者の落ち度を責め、加害者を擁護するような発言をしていたら、子どもは自分の被害を言い出せなくなりますよね。

どんな場面でも「この子も、性被害にあうことが(あったことが)あるかもしれない」という前提で発言することが大切です

加害者は色々な理由をつけて自分の暴力を正当化しますが、性暴力に限らずすべての暴力は加害者の問題です。「暴力は振るった方が悪い」という確固たる軸を持っておきましょう。自分の親が、暴力に対して公正な立場であるということは、社会的弱者である子どもにとって、これほど心強いことはありません。

被害を打ち明けられたときは、「話してくれてありがとう」「こわかったね、もう大丈夫だよ」「あなたは何も悪くないよ」と最初に伝えましょう。子どもの話を信じ、傷つきに寄り添うことが、最も大切です。そして、警察や性暴力のワンストップセンターに、今後の対応について相談しましょう。被害をなかったことにしない、親の「暴力を許さないという姿勢」から、子どもは自分が守られていることを実感し、社会への信頼を取り戻していくのです。

●性暴力被害相談の全国共通短縮ダイヤル<#早くワン(ストップ)>
※全国のどこから電話しても、最寄りのワンストップ支援センターにつながります
#8891

●性暴力に関するSNS相談「Cure time(キュアタイム)」(内閣府男女共同参画局)
https://curetime.jp/

<専門家プロフィール>
福田 由紀子

臨床心理士。公認心理師。認定フェミニストカウンセラー。自治体の女性相談、スクールカウンセラー、精神科心理療法士、大学非常勤講師などの経歴を持ち、女性のエンパワーメント(力を取り戻す/力をつける)支援をライフワークとしている。ユキ メンタルサポート代表。
https://yms17.com