動物の世界は学びの宝庫!動物研究家・パンク町田さんインタビュー

動物の世界は学びの宝庫!動物研究家・パンク町田さんインタビュー

教育

目次[非表示]

  1. 海外でのフィールドワークで見つけた、動物研究家としての出発点
  2. 上半身裸で動物と接する理由は?心を通わせるための秘訣は“観察”にあり
  3. 子育てに熱心な動物にも、そうでない動物にも“パパのためのヒント”がある
都市部に住んでいる子どもたちにとって野生の動物と日常で出会う機会はきわめて珍しく、動物は絵本やテレビを通じて(あるいはたまに動物園で)その存在を知る“遠い世界の生き物”というイメージの子も少なくないのでは? そんな動物たちをもっと身近に感じながら正しく理解を深め、人間と動物とのあるべき関係を学んでいくにはどうすればいいのか

そのヒントを探るべく、“上半身裸の動物に詳しい人”としてテレビでもおなじみの動物研究家・パンク町田さんにインタビュー。ありとあらゆる生物を扱うことのできる町田さんならではの動物との接し方について、ご自身の活動に込めてきた思いを交えて語っていただきます。

海外でのフィールドワークで見つけた、動物研究家としての出発点

オンライン取材に応じるパンク町田さん

──町田さんが動物に興味を抱き、研究してみたいと思うようになったきっかけは何ですか?

私は東京・練馬生まれの中野育ちですが、そういう地域でもいろんな動物と接する機会があり、物心がついた時から動物が好きでした。通っていた幼稚園には大きな木にハチが集まり、興味を惹かれたのを覚えています。そうやって育つうちに「動物を研究したい」という意欲が自然と湧きました。

──もちろん動物図鑑などを読むことでも動物への関心と知識を深めていたと思いますが、まずは直接ふれ合うことが原点だったのですね。

はい。身の周りに動物がいたからこそ「図鑑を読んでみよう」と興味が湧き、そして見たことのない動物を図鑑で知ることによって「これは何だろう?」「外国にはこんな動物がいるのか、すごいな」とさらに興味が湧いたわけです。

──公式ホームページで町田さんの経歴を確認したところ、24歳ごろに動物に関する執筆活動を始めたのが動物研究家としてのスタートとなっていました。その頃はどのような活動を行っていたのですか?

主に海外でのフィールドワークを行っていた時期でした。動物の飼育に関する文献を読んでいると、「現地でも実際にその内容どおりの環境で暮らしているのか?」「そうした飼育に適切な環境が再現されているのか?」など、さまざまな疑問が湧いてくるわけです。そうした疑問を解決するために、現地に直接足を運んで調べていました。

──フィールドワークでいろいろな国に訪れた中でも、動物研究家として特に得るものが大きかった体験はありますか?

初めて調査で海外へ渡ったタイでの体験ですね。空港から外に出るドアを開けて息をしたその瞬間、日本とはまったく空気が異なっていることに驚き、思わず息を止めてしまいました。もしかしたら海外から輸入された動物たちも、初めて日本へ着いた時は空気の違いに気づいて思わず息を止めているかもしれないんじゃないかな。そうしたカルチャーショックを通じて、まったく異なる環境で動物を育てるには研究すべきことがたくさんあるという課題と、動物それぞれの順応性に合わせて生育環境を提供することの重要性に気づきました

──初めて海外に降り立った瞬間に、動物研究の原点を見つけたわけですね。では、動物の生態にまつわる発見で特別な体験があったら、あわせて教えてください。

何か特別な発見をしたというより、いろいろな経験を積み重ねながら知識としていきました。例えば、ニューギニアに生息するあるニシキヘビは文献では「摂氏30度の環境で生息している」と書かれているけど、実際には現地での昼間の気温は40℃もあり、夜には16℃まで下がる──つまり平均気温が30℃ということ。そうとは知らず、ずっと30℃をキープした環境でニシキヘビを育てても元気でいられないですよね。こうした飼育に関する知識は、経験があってこそ導き出せるものです。

──フィールドワーク先の生活で大変だったことはありますか?

現地の生活様式を知らないことによるカルチャーギャップの連続でしたね。インドネシアでは風呂とトイレが同じ場所にあるけど、そこにはお尻を拭く紙がありません。浴槽みたいな大きな場所に水が貯められていて、体を流したり、用を足した後にお尻を洗う時にはそこから水を汲んだりするんです。そうとは知らず、まず私の友人がトイレで大便をした際に浴槽へ直接手を入れて汚れを落とし、その後に私が浴槽に入ってしまったんです。あとで現地の人がカンカンに怒ってました(笑)。

上半身裸で動物と接する理由は?心を通わせるための秘訣は“観察”にあり

──ありとあらゆる動物を扱うことのできる町田さんが、これまで動物に対して身の危険を感じた経験はありますか?

もちろんあります。ニューギニアで現地の人に「ヘビが必要だから捕まえてきてほしい」と頼んだら、タイパンというコブラよりも毒性の強いヘビを持ってきたのですが、彼はそんなに危険なヘビだと知らなくて私の首に巻いてきたんです。しかも、今まで見たこともないくらい太いタイパンで、大きいとそのぶん毒も強くなるから噛まれたら大変。「絶対手を離すなよ!」と注意しました。

──それは危機一髪でしたね!

他にも、動物のオーナーが管理していたヒョウに突然襲われたことがあります。その時、周りにいた人たちが私をヒョウから引き離してくれたおかげで致命的な傷は負わなかったけど、爪が食い込んだ肩の肉がちぎれて8針くらい縫いました。あと、インドネシアのスラウェシ島で大きなニシキヘビを探していた時、現地の人から「家の裏の洞窟にいて、子どもが襲われないか心配」と聞いて退治を買って出たら、ニシキヘビに巻き付かれ洞窟の中で倒れてしまいました。20~30分も身動きが取れずにいたところ、洞窟まで案内してくれた人が助けに来てくれて助かったけど、あの時は「このままここで死ぬのか」と覚悟しましたよ。

──テレビで動物とふれ合っている町田さんの姿からは、そうした壮絶な体験があったとはとても想像がつきません…。ところで、動物と心を通わせるための秘訣があれば教えてください。

「今こう思っているだろうな」という人間の一方的な思い込みで接するのではなく、ちゃんと動物を観察することです。ペットとして飼える小さな動物だけではなく、自分よりも大きくて危険な動物を飼育する場合であっても、観察していなければ動物が病気になっても気づかないし、人間にとって意図が分かりづらい行動の真意がいつまでたっても理解できません。

──動物の観察にも何かしらのコツが必要ですか?

観察には特別な能力は必要なく、見て理解しようとすれば誰にでもできます。例えば、動物が壁をガリガリ引っかいてる場合、その先へ行きたいのかもしれないし、「これをすればエサがもらえる」と学習してしまった“おねだりの行動”かもしれない。前者の場合は動物が先へ進める飼育環境を作ってあげればいいし、後者の場合はおねだり行動をやめた時にエサを与えるようにすれば引っかく時間が短くなっていきます。このように観察と研究が結びつくことで、経験として活かせるようになるわけです。

──町田さんといえば上半身裸で動物とふれ合う姿が印象的ですが、これにはどんな意味があるのですか?

まず1つは、動物も裸だから。そしてもう1つは、飼育している人間が別の服に着替えてしまうと、動物はその人を同一人物と認識しづらくなるから。だから、動物園の飼育員が毎日同じ作業服を着ているように、毎日同じ格好で接する必要があります。私にとって“究極的な同じ格好”は裸なので、上半身裸でふれ合っているのです。

──口の中にリスを入れている模様もテレビで見たことがあり驚きましたが、動物と心が通じ合えばあんなことも可能なのですか?

リスのように知能が高くて人間に慣れやすい動物は「口は安全」「口の中に入ると唾液で喉が癒せる」と理解していて、むしろ口が大好きなんです。今飼っているフェレットも自分から口の中に入ってきますよ。動物とのスキンシップは口が基本ですが、小さい動物にとって自分より大きな生物の口は「食われる」というストレスになるので注意が必要です。
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