夫婦喧嘩が児童虐待になる?研究で明らかになった「面前DV」が子どもの脳に与える悪影響とは

夫婦喧嘩が児童虐待になる?研究で明らかになった「面前DV」が子どもの脳に与える悪影響とは

育児

目次[非表示]

  1. 言葉の暴力も要注意!夫婦喧嘩は子どもの脳を傷つける
  2. 年々急増している子どもへの「心理的虐待」──夫婦喧嘩もその一つ
  3. 夫婦喧嘩をなくすコツと、子どもに見られた時のフォロー
  4. パパママの穏やかな表情が子どもの心を豊かに育てる
夫婦生活に喧嘩はつきもの。家庭でのお互いへの不満や意見の食い違いから夫婦喧嘩が起きることは、決して珍しいことではありません。でも、夫婦喧嘩があまりにも日常的に繰り返されたり、相手への暴言や暴行に及ぶほどの激しいものになってしまうと、それを間近で見ている子どもに及ぼす影響が心配されます。「夫婦喧嘩は子どもの精神衛生上にもよくない」ことはなんとなく分かるものの、実際にどのような悪影響が生じているのでしょうか?

言葉の暴力も要注意!夫婦喧嘩は子どもの脳を傷つける

福井大学とハーバード大学がアメリカの女子学生を対象に調査したところ、暴力や暴言が伴う両親の夫婦喧嘩を幼い頃から目の当たりにして育った子どもたちは、そうでない人たちと比べてIQ(知能指数)と記憶力の平均点が低かったそうです。これは、脳の視覚野の一部が萎縮したことが原因で、身体的な暴力を見てきた人の萎縮率が3.2%だったのに対し、言葉の暴力は19.8%で子どもの脳へのダメージがより大きいことも判明しました(※1)。

ちなみに同調査のチェック項目として、次のような言葉の暴力が例として挙げられていました。

「大声をあげる」
「ののしる」
「行為を責める」
「はずかしめる」
「気分を悪くするような悪口を言う」


たとえ子どもに直接的な危害が及ばなくても、夫婦間の暴言はそれを聞いた子どもの脳や感情に悪影響を与えるおそれがあります。夫婦生活に喧嘩はつきものとはいえ、夫婦喧嘩にこうしたリスクが存在することは気に留めておいた方が良いでしょう。「口喧嘩くらいなら大丈夫」と軽く考えず、「ついカッとなって、子どもがいる前でも言ってるかも」と心当たりのある方は注意してください。

※1:NHKクローズアップ現代「夫婦げんかで子どもの脳が危ない!?」

年々急増している子どもへの「心理的虐待」──夫婦喧嘩もその一つ

もう一つ気をつけたいのは、こうした子どもの心を傷つけかねない激しい夫婦喧嘩は、実は「児童虐待」にあたるということです。

警察庁が統計を取っている「全国の児童相談所での児童虐待相談対応件数」は年々増加していて、令和2年は過去最多の20万5029件に。そのうち、身体的な危害に及ばない心理的虐待が12万件以上を占め、その増加要因として「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力がある事案(面前DV)について、警察からの通告が増加」したことが挙げられています(※2)。

※2:厚生労働省「令和2年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」

児童虐待が子どもの正常な精神の発達を妨げるものであることは周知のとおり。児童虐待というと身体的・精神的な危害を子どもに直接加える行為をイメージしますが、「面前DV」という名称で定義された激しい夫婦喧嘩も、子どもに対して心理的な虐待を加える行為の一つと考えられているのです

ここ数年、体罰やネグレクトなどの虐待よりも広い意味で、子どもの心や体を傷つける“大人から子どもへの避けるべき扱い”を指す「マルトリートメント」という言葉が使われるようになりました。そしてこのマルトリートメントには、夫婦喧嘩を子どもに見聞きさせる面前DVも含まれます。子ども時代にマルトリートメントを経験してしまうと脳の発達に悪影響を受け、大人になってから心身の不調(うつ病、PTSD、意欲の低下など)に悩む可能性が高くなる(※3)ので、パパママは子どもとの向き合い方をいろんな側面から考える必要があるでしょう。

※3:一般社団法人 日本家族計画協会「防ごう!まるとり マルトリートメント」
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