『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』│娘を育てるパパ必見!女性にとっての幸せとは?

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』│娘を育てるパパ必見!女性にとっての幸せとは?

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  1. 娘に人生を教えたいパパに。親子で見てほしい“少女のバイブル”
  2. 1世紀以上も前の物語に込められた普遍的な自立のメッセージ
  3. 自分を重ね合わせずにいられない、四姉妹それぞれの選択

娘に人生を教えたいパパに。親子で見てほしい“少女のバイブル”

「女性にとって結婚が一番の幸せ」というのは、もはや昔の価値観。もちろん、愛する人と結ばれたり子どもをもうけることも素晴らしいことですが、ほかにも夢を追ったり、キャリアアップに邁進するなど、自分が生きたいように、つまり自分らしく生きていくことこそが大切とされています。

そうした生きていく上で大切なメッセージを、言葉よりも説得力のある物語や映像で娘たちに伝えたい──。そう願うパパママにピッタリの映画をご紹介します。時代を超えて読み継がれるルイーザ・メイ・オルコットの名作小説を21世紀に映像化した『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』です。

1世紀以上も前の物語に込められた普遍的な自立のメッセージ

本作の原作となった「若草物語」は、19世紀の女流作家オルコットが自らの体験を基に、南北戦争下の19世紀後半アメリカを舞台に執筆した小説。今までちゃんと読んだことがないパパも少なくないでしょうが、緑豊かな小さい町で暮らすマーチ家の四人姉妹の成長が日常の何気ないエピソードを交えて鮮やかに紡がれていて、“少女のバイブル”として今もなお親しまれているのです。

そんな不朽の名作小説の魅力を現代に蘇らせたのは、『レディ・バード』で単独初監督作にしてアカデミー賞候補になった俊英グレタ・ガーウィグ。女性というだけで仕事や人生を自由に選べないことに疑問を抱く作家志望の次女ジョー(シアーシャ・ローナン)を、結婚こそ女性の幸せと信じる長女メグ(エマ・ワトソン)と対比しながら、それぞれ自分らしく生きていこうとする少女たちの姿を追いかけます。

(写真左から)長女メグ(エマ・ワトソン)、末っ子エイミー(フローレンス・ピュー)、次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、三女ベス(エリザ・スカンレン)

本作を見て率直に驚いたのは、1世紀以上も前の物語なのに、そうした時代の隔たりが感じられないこと。夢と希望に胸を膨らませる少女が、やがて生きづらい男性優位社会の厳しい現実に直面し、その中で喜びや葛藤を抱きながら自立への一歩を踏み出す…。そんないつの時代も変わらない普遍的な人生が瑞々しく映し出されていて、今を生きる女性にとっても“私の物語”と共感しやすくなっています。だからこそ『ストーリー・オブ・マイライフ』なのです。

また、大人になった現代を寒々とした色彩、回想シーンの過去を暖色のトーンに描き分けることで、少女時代の輝きをいっそう際立たせる演出も秀逸。シアーシャ・ローナンやエマ・ワトソン若手屈指の実力派女優たちの繊細な演技と相まってキャラクターや物語の深みが増し、不朽の名作「若草物語」の魅力がより鮮明に感じられます。

自分を重ね合わせずにいられない、四姉妹それぞれの選択

ジョーは恋人ローリー(ティモシー・シャラメ)からのプロポーズに困惑する

四人姉妹の中で現代性の高いキャラクターといえば、やはり次女ジョーでしょう。「女性の幸せが結婚だけなんておかしい」という自立への強い意思、「でも、愛する人と添い遂げられないのはどうしようもなく孤独」という葛藤、そして夢を実現するためにあきらめず奮闘する姿は、現代の少女たちが将来の自分を考える道しるべとなることでしょう。

また、他の姉妹たちにもそれぞれ己の信じる“自分らしさ”や“人としての強さと弱さ”が描かれているので、どんな子が見ても「この人の気持ち、分かる!」と自分を重ねずにいられなくなる瞬間があります。人間にはいろんな個性や価値観があっていい、迷わず自分らしさを追い続ければいいんだよ──。これから成長していく子どもにパパママが教えたい大切なメッセージが、きっと子どもの胸にも刻み込まれることでしょう。

1つだけの生き方を強要せず、自分らしく生きる素晴らしさを訴えかける古典文学を “今を生きる私の物語”へと見事にアップデートした本作を、ぜひ親子で一緒に鑑賞してみてください。きっと子どもにとって宝物になるだけでなく、パパママにとっても子どもと人生を語り合う格好のきっかけになるはずです。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019年) /アメリカ/ 上映時間:135分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
DVD・ブルーレイ発売中