慣れない環境でもぐっすり眠るには?旅行のお泊まり・里帰りでの睡眠のコツ

慣れない環境でもぐっすり眠るには?旅行のお泊まり・里帰りでの睡眠のコツ

育児

目次[非表示]

  1. 何歳くらいからお泊まりは可能?
  2. 「普段と環境が変わること」が赤ちゃんの睡眠に与える影響
  3. 旅先での赤ちゃんの睡眠トラブルを防ぐ対策
    1. 安全な睡眠環境を整える
    2. 光を防ぐ
    3. 癖を最小限にする
  4. 旅行から帰ってきた後、睡眠リズムが狂ってしまったら?
赤ちゃんが健やかに成長していくには、十分な時間かつ良質な睡眠が不可欠。そうした睡眠を得るために親ができることは? そんなパパママの悩みを、妊婦と子どもの睡眠コンサルタントとして活動する和氣春花さんが解決するコラム連載。

今回は、「旅先や帰省先でぐっすり眠るためのコツ」を解説します。
夫婦二人だけのときは気軽にできた旅行や里帰りも、子どもができるとハードルが一つ上がってしまいがち。特に日ごろから睡眠にトラブルのあるお子さんのパパやママは、宿泊先でお子さんが上手に寝られるか、帰ってきてからトラブルになってしまわないか、心配になることもあるかと思います。

そんなパパとママのために、お出かけ先や帰ってきてからのトラブルを予防し、ぐっすり眠ってもらうためのコツや持っていくと良いものをご紹介します。

何歳くらいからお泊まりは可能?

里帰り出産をされていた場合は、生後1~2カ月のタイミングで自宅に帰るために飛行機や新幹線に乗ることもあるでしょう。

一方で旅行となるといつから行けるのでしょうか。一般的に目安は首がすわった3カ月以降と言われていますが、ママの体力なども考えると、赤ちゃんがある程度夜にまとまって睡眠がとれるようになってきてからをおすすめします。

夜泣き対応をしているとママは夜も寝られず、睡眠不足になりがちです。昼に一緒に昼寝をとるなどすることで細切れに睡眠を確保している状態なので、体力を消耗する旅行などは大変な面もあるかもしれません。とはいえ、旅行にはリフレッシュできるというメリットもあるので、ママや赤ちゃんの体力と相談しながら検討すると良いでしょう。

「普段と環境が変わること」が赤ちゃんの睡眠に与える影響

旅先ではいつもとは違う環境で寝ることになります。“いつもと同じ”であることに安心する赤ちゃんたちは、このちょっとした環境の変化に敏感に反応してしまうもの

私が睡眠コンサルティングをしている中でも年末年始などの大型連休前には、旅先で寝かしつけに新たな癖がついてしまわないか、普段より激しく夜泣きをしないか、夜泣きが始まってしまわないかという心配のご相談が多く集まります。

確かに旅先で睡眠トラブルが発生してしまうというのはよく聞く話です。特に多いのが“いつも以上に寝られなかった”ということ。元々寝かしつけに時間がかかる子が、旅先でテンションが上がって夜遅くまで寝てくれなかったということや、夜泣きがひどくなってしまったという話は耳にすることが多いです。

前置きしておきたいのは、「いつどんなときも子どもたちは20時以前に寝なくてはいけない!」などと言うつもりはまったくない、ということです。コンサルティングの中でも、ご家庭ごとの都合や事情があり、普段の生活リズムもご家庭ごとに上手くまわしやすい時間があればそれを尊重するようにしています。

特に、旅先は特別です。いつもより少し遅くなってしまうことはあると思いますが、夜泣きをされて睡眠不足になって翌日ヘトヘト…などとなってしまうと旅の楽しさが半減してしまいかねないので、その対策をご紹介していきます。

旅先での赤ちゃんの睡眠トラブルを防ぐ対策

安全な睡眠環境を整える

ぐっすりと寝るためには、赤ちゃんの寝床を安全な環境にしておくことが大事です。ただでさえ慣れていない旅先での睡眠なので、パパやママも安心でき、赤ちゃん自身もその姿を見て「ここは安心して寝られる場所なんだ」と思えるようにしてあげましょう

旅行の場合は事前に問い合わせをして、ベビーベッドのレンタルがあるホテル、もしくはお布団で寝られる宿を選ぶと良いでしょう。大人のベッドで寝るのは転落や窒息の危険性があり、安全性に欠けるのでおすすめできません。

もし気に入った宿にベビーベッドがない場合は、壁にくっつける対応をしてもらえるのか、万が一落ちてしまった時のためのクッションなどを借りられるか(ベッドの周りに敷いて使います)聞いてみることをおすすめします。

光を防ぐ

睡眠と光には非常に深い関係があります。おうちの寝室でも真っ暗にすることを推奨していますが、これは光が入ることによって脳を覚醒させてしまう作用があるからです。カーテンの隙間からたった一筋の光が漏れていたことが早朝に起床する原因になっていた!という事例もあるくらい、明かり漏れは睡眠に非常に深く関係のある要素です。

自宅でも旅先でもしっかりと遮光をして真っ暗な部屋にしてあげることが、リラックスして眠りにつくために大切なのですが、それではホテルなどの場合子どもが寝たら大人は真っ暗闇の中で過ごすの?!となってしまいますよね。そんな時に持っていくと便利なのがナイトライトです。

ベッドサイドランプや天井のライトなどをつけると、どんなに薄くつけていてもふと目が覚めたときに目に入ってしまい、覚醒させる要因になってしまいます。目に直接入らない足元にナイトライトを置いておくことによって、明かりも確保しつつ、覚醒を防ぐ効果があります

また、旅館などの場合、窓側が障子であることが多いので、明るすぎて眠れないということが考えられます。その対策として持っておくと便利なのが黒い布と遮光テープです。黒い大きめの布を持って行って、障子に目玉クリップなどで取り付けます

隙間から明かりが漏れるのが気になったら、遮光マスキングテープを使ってふさいでみてください。マスキングテープなのでチェックアウト時にはがすのも簡単です。エアコンのランプなどが気になる場合にも使えますよ。

癖を最小限にする

旅先でテンションが上がっていたり、いつもの環境でなくて精神的に不安定になっていたりして、なかなかいつもの寝かしつけ方では難しいということは往々にしてあります。

だからといっていつもと違う寝かしつけ方をしてしまうと、それが癖になってしまって自宅に帰ってからもその方法で寝かさなくてはいけなくなるのではないか…というのが心配ですよね。

旅先は非日常空間、かつ活動時間も長くなりがちなので、ある程度寝かしつけの関与が高くなる(例:トントンだけで寝られたのに抱っこを求めてくる)ことは仕方ありません。そのため、イライラしながら長時間かけるよりも、ちょっといつもより手がかかることを許す(パパやママが自分の気持ちを許す)ことも大切です。

ただ、お子さん自身もその方法が今だけ特別なんだと理解してくれたら良いのですが、帰ってからもその方法で寝かせて欲しいと甘えてくることもあります。その場合、数日間かけて癖をとるトレーニングが多少なりとも必要になります。ついた癖が強ければ強いほど、その癖をとるのにも時間と手間がかかることになります。そのため、帰ってから苦労しないためにはできるだけ癖を最小限にすることを意識してあやすことが大事です

具体的には下図の「親の介入度の段階」を参考にしてください。左に行けば行くほど寝かしつけへの親の介入度が高まり、右に行けば行くほど低くなります。

いつもはセルフねんねができる子が、うまく寝られないからと急に授乳で寝落ちする寝かしつけ方をしてしまうと癖を取る(元の位置に戻る)のが大変になってしまいます。まずはいつも通りの寝かしつけ方をやってみて、うまくいかなければ一つ左側のあやし方でやってみる…というように段階を経てやってみてください。

旅行から帰ってきた後、睡眠リズムが狂ってしまったら?

旅先で寝る時間や起きる時間がバラバラになってしまい、帰ってきてからもなかなか元のリズムに戻すのが難しくなってしまうこともよくあるトラブルの1つ。

これを解決するために、まずは朝いつも通りの時間に頑張って起きましょう。体内のリズムを正常にするカギは太陽の光です。朝起きたらカーテンを開けて日光を浴び、体内時計をリセットします

旅行で疲れていて、なかなか起きれずグズグズしてしまいがちですが、そんなときはいつもより早めに昼寝を入れてあげると良いです。長く寝てしまっても、昼寝の回数が増えてしまってもOK。就寝時刻に影響が出てしまうほど遅くまで寝てしまった場合のみ起こしてあげるようにしましょう。

朝しっかり起きることによって、夜もいつも通りの時間に寝られるようになるので、まずは朝頑張ってみてくださいね。

<専門家プロフィール>
和氣 春花(わけ はるか)

米国IPHI公認 妊婦と子どもの睡眠コンサルタント。SNSではねんねママの名前で活動。我が子の夜泣きに悩んだ際に睡眠コンサルタントに支えられた経験から同資格を取得し、パパママ向けのコンサルティングやねんねママのブログ・YouTube「ねんねママちゃんねる」での情報発信、「赤ちゃんとママのためのぐっすりねんね講座」の講師を務めている。

ねんねママのブログ
https://mominess.com/
YouTube「ねんねママちゃんねる」
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