男性の育休が当たり前の社会に──育休取得推進企業の社員に訊く育休体験談 第4回「積水ハウス」後編

男性の育休が当たり前の社会に──育休取得推進企業の社員に訊く育休体験談 第4回「積水ハウス」後編

育休

目次[非表示]

  1. 業務引き継ぎ後のフォローを通じて実感した若手の成長
  2. 育休中に子どもと長く一緒に過ごすことで育んだ絆
  3. 復帰後も職場と家庭で育休のメリットを実感
男性の育休取得推進に積極的な企業を取材し、“男性の育休が当たり前”の社会になっていくためのヒントを探っていく連載企画。第4回でご紹介する企業は、3歳未満の子を持つ男性従業員を対象に1カ月以上の育児休業完全取得を目指す「特別育児休業(イクメン休業)制度」を2018年9月から運用し、対象従業員の取得率100%を達成(2019年8月末時点)した積水ハウス。

制度の内容について取材した前回に続き、今回は実際に制度を利用して育休を取得した東京南支店エリアマネージャー・細川昇さんにお話を伺います。

▼積水ハウスのイクメン休業制度についての紹介記事はこちら

積水ハウス株式会社
東京南支店エリアマネージャー
品川シーサイド展示場店長
細川昇さん
※最新モデルルームが展示されている品川シーサイド展示場にて取材

業務引き継ぎ後のフォローを通じて実感した若手の成長

──まず細川さんの家族構成を教えてください。

妻と6歳の長男と3歳の長女の4人家族です。妻は以前同じ会社に勤めていて、今は専業主婦です。

──イクメン休業制度は2018年9月から運用されたので、この制度で育休を取得したのは娘さんの時ですか?

はい。積水ハウスには3歳未満の子を持つ男性従業員が有給として4日間の育休を取得できる「ハローパパ休暇」があり、息子と娘が生まれた時にそれぞれ4日間休暇を取っていたのですが、イクメン休業制度のスタート時点で娘が2歳後半だったので改めて1カ月間の育休を取得しました。

──ご自身が育休取得対象者になったと知った時の率直な感想は?

私のように営業職の社員でも、本当に育休を取れるのかな?というのが率直な感想でした。会社は「男性従業員1カ月以上の育休完全取得」を目標に掲げていましたが、実際は一部の社員しか取れないのではないかという思いがありました。

──イクメン休業制度では育休期間を最大4回に分割できますが、細川さんはどのように育休を取得しましたか?

制度が運用して間もない2018年10月末から年末年始にかけて、4日間・1日間・11日間・15日間に分け、クリスマスなど家族みんなが楽しめるイベントを行いやすい時期を絡めて取得しました。当時は駒沢の住宅展示場で店長を務めていて、東京の店長でイクメン休業制度による育休を取得したのは私が最初だったそうです。

──小刻みの期間とはいえ、いざ仕事を休むとなると業務の引き継ぎなど大変なこともあったのではないでしょうか?

支店長が陣頭指揮を執って業務を振り分けてくださったおかげで、社内での引き継ぎはスムーズに行うことができました。また、育休取得推進の精神が社内に浸透していたので、上司や同僚もとても協力的でした。職場に取得経験者がいなかったのですが、男性の育休に対する先入観もなく受け入れてもらうことができました。

──業務の引き継ぎで特に気を配ったことはありますか?

契約や工事が継続中だったお客様へのフォローには細心の注意を払いました。普段から契約前と契約後にお客様と会う際には若手スタッフを同行させていて、育休中は彼らが私に代わって積極的にフォローしてくれました。いつの間にか私の仕事ぶりから多くのことを吸収し、自分が思っている以上に育ってくれていて頼もしく感じましたね。

育休中に子どもと長く一緒に過ごすことで育んだ絆

──育休中の過ごし方として重点を置いたことはありますか?

普段は展示場の定休日にあたる平日しか仕事を休むことができず、私が休日でも通園している子どもたちと接する時間は限られていたので、育休期間中は子どもと一緒に過ごす時間を大切にしました。習い事へ一緒に行ったり、家で遊んだりお風呂に入ったり…子どもたちは「ずっと休みでいてほしい!」と喜んでくれましたよ。

──1カ月間の育休を取得できることに対する奥様の反応は?

娘がすでに2歳後半まで成長していて、また妻も専業主婦として子どもを育てる生活の流れを確立していたので「10日間の育休でも十分だった」と言われました(笑)。でも、普段は取れない長期間の休暇を利用して国内と海外へ2度の家族旅行に出かけることができたので、妻にはいいストレス発散になったのではないでしょうか。もちろん子どもも初めての海外旅行は嬉しかったようです。

──育休中で印象に残っているエピソードはありますか?

ちょうど3棟目の家を建てたオーナー様の地鎮祭があり、私が育休中であることを伝えたところ「ではお子さんも一緒にいかがですか」とお招きいただき、地鎮祭後の食事会まで息子と一緒に参加させていただきました。私にとっても息子にとっても特別な思い出になりましたね。ちなみに、他の参加者にも子連れの理由を説明したら「すごく良い取り組みですね。どんどん育休を取ってください」とおっしゃっていました。

──男性従業員が育休を取得したことに対しては驚きの反応が多かったですか?

そうですね。お客様との会話でイクメン休業制度が話題に挙がった際に「私もこの制度で育休を取りました」と報告すると、「本当に取得しているんですね! 一部の社員しか休むことができないと思っていましたよ」と驚かれました。男性のお客様の多くは「育休が取れてうらやましいですね」とおっしゃいますね。

復帰後も職場と家庭で育休のメリットを実感

──育休を取得したことによって、その後のお客様とのやり取りにプラスの影響はありましたか?

家で子どもと一緒に過ごす時間が増えたことで、住宅における子どもの動線がよく分かるようになりました。「こんな家だといいですよね」と子どもの動線に沿った提案をお客様に行うと、子どもと過ごす時間の長い女性から特に共感されます。そうしたお子様のいらっしゃるお客様に対する提案力は、育休体験のおかげでアップしたのではないでしょうか。

──育休後の働き方に変化は生まれましたか?

運動会や父兄参観などの行事がある場合、土日でも気兼ねなく休暇を取るようになりました。逆に、そうした行事が仕事と重なっていたことを後で知った場合「教えてくれたら休んだのに」と妻に言っています(笑)。また「今日はこの時間に帰ったら子どもと一緒にお風呂に入ることができる」と家族と一緒に過ごす時間を大切に思うようになり、帰宅時間が早くなったのも大きな変化ですね。

──お子さんとの関係性でも変わった点はありますか?

はい。育休前の娘はおむつ替えもママじゃなきゃイヤなぐらいママっ子で、ママがいないと驚くほど大泣きしていたのですが、今では私と2人で留守番するのも平気になりました。息子とも今まで以上に仲良くなり、先日も学生時代のアメフト仲間が集まる宿泊キャンプに2人で参加しました。あまりにも仲が良すぎて、少しだけ嫉妬のような気持ちを妻から感じることもありますが(笑)。

──小さい間の子どもはママっ子が多いものですが、親子で長く一緒に過ごすことができる育休ならではのメリットを得られたわけですね。

はい。とはいえ4回に分けて小刻みに取得したので、娘に関しては3度目の育休期間でようやくパパに慣れてくれたというのが実態です。それに、小刻みな育休だと初めてのおむつ替えなんかもなかなか上手くならないので、職場のメンバーには「可能であれば育休は1カ月間まとめて取る方がいいよ」と勧め、そして育休を取る重要性も実体験を踏まえて伝えるようにしています。やはり上司が休むとメンバーも休みやすいですからね。

──実際に1カ月間まとめて育休を取得する男性従業員は社内にいますか?

営業職の社員はどうしても分割で取得せざるをえないですね。技術職などでは1カ月間まとめて取得している社員もいるようです。

──では最後に、今後の家庭生活の理想や目標があればお聞かせください。

お客様に積水ハウスの新築住宅を引き渡すたびに「自分もこんな素敵な家に住みたいな」と思っています(笑)。将来的には庭がある一軒家で子どもたちにのびのび育ってほしいですね。
2児のパパとして、そしてイクボスとして数々のプラスの影響を与えてくれた育休体験を嬉しそうに振り返る、細川さんのイキイキとした表情が印象的なインタビューでした。

育休のため長期間に渡って仕事を休むことはなかなか難しいものですが、積水ハウスのイクメン休業制度のように分割して取得できれば、男性にとって育休がより現実的なものとして感じることができそうですね。
写真:開發/家men編集部
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