男性の育休取得期間はどれくらいがベスト?パパたちの体験談から「日数ごとにできること」をチェック!

男性の育休取得期間はどれくらいがベスト?パパたちの体験談から「日数ごとにできること」をチェック!

育休

目次[非表示]

  1. 「1週間」だとさすがにあっという間?
  2. 「2週間」は家事育児のペースをつかむ頃に終わる
  3. 「1ヵ月」を超えると育児の楽しさも体感できるようになる
  4. 「3カ月」あればママの産後回復をサポートし、子どもの成長もたくさん見届けられる
  5. 「半年」あれば家庭の外でも“パパの基盤”を固められる
厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2020年度の男性の育休取得率は過去最高の12.65%となり、男性の育休取得が今後さらに推進されることが期待されています。一方、そうやってパパやプレパパが育休を取得しやすい状況が整ってくると、新たに浮かび上がってくるのが「どれぐらいの期間、育休を取得するのが妥当なのか」という課題です。

積水ハウスが全国47都道府県の男女合計9400人を対象に、男性の育休取得実態を調査した「男性育休白書2021」(※1)によると、男性の育休取得者のうち取得日数を「1週間以内」と答えた割合は56.5%。1カ月以上取得した割合は2割にも達しなかったのだとか。ちなみに、「女の転職type」が子どものいる女性に行ったアンケート調査(※2)によると、夫に取ってほしかった育休日数で最も多かった回答は「数ヵ月」。男性の育休において女性が求める理想に対して、現実はまだまだ大きく隔たりがあるようです。
※1:積水ハウス「男性育休白書2021」
※2:株式会社キャリアデザインセンター「『女の転職type』が働く女性にアンケート【第37回】」

もちろんこうした取得実態は、育休に対する職場の雰囲気や上司の理解度によって期間に限界があったり、逆に育休取得による収入減を考えると長期間休めない…などなど、個人や家庭によってさまざまな事情があった上でのことでしょう。でも、もし期間の希望が叶うのであれば、育休取得によって「自分がしたいこと」「自分がすべきこと」を明確にした上で、その実現に必要な日数分の育休を取得するのが理想ではないでしょうか。

そこで今回は、育休取得経験者パパたちの声を取得日数別にクローズアップしながら、育休期間ごとの「できること」「できないこと」について見ていきましょう。育休を検討していて取得日数に迷っている方たちは、ぜひ参考にしてみてください。

「1週間」だとさすがにあっという間?

前述の「雇用均等基本調査」では業種別の男性育休取得率と取得期間が公表されていて、「金融業、保険業」は取得率こそ31.0%と最多だったものの取得期間は5日未満の割合が64.0%。土日も含めて仕事を休むのは1週間までが精いっぱい、というのが男性育休の現実的な状況のようです。
「おいたん」さんも仕事の都合で1週間しか育休を取得できなかった一人。「育児した!って感じはなく、普段よりは娘と触れ合う時間をもてたってだけで時間が全然足りない」とその短さを痛感したのだとか。確かに1週間だけだと、日常生活モードから家事育児モードへのギアチェンジをする前に育休が終わってしまいそう…。

もちろん、1週間のうちに家事や育児の大変さを体感することで、育休後も継続的に家事育児に参画しようという使命感と意欲を獲得できれば、短い期間でも育休取得の価値は十分あるでしょう。

「2週間」は家事育児のペースをつかむ頃に終わる

昨年、政治家の小泉進次郎氏が小刻みながら約2週間の育休を取得したことで話題になりましたが、ベビーカレンダーがママやプレママに行った意識調査(※3)では約5割が「2週間は短い」と回答。「2週間では育児の本当の大変さがわからないと思う」「育児に慣れる前に育休が終わってしまう気がする」などの意見が挙がっていました。
※3:株式会社ベビーカレンダー「ママ3,239名の本音!「パパの育休」に関するアンケート調査を実施」

家menの連載「男の育休ファイル」で取材に応じていただいた平塚さんは、高齢出産の奥さんの産後と職場復帰をトータルでサポートするために育休を取得。授乳以外の育児家事を全部担当しようとしたそうですが、育休スタートにおける最初のハードルとして「直前まで日々仕事に忙殺されていたので、家事と育児に忙殺される日々へと脳をシフトチェンジするのが大変でした」と告白。「特に最初の10日間ぐらいは家事のペースがつかめず、料理するのにやたら時間がかかったり、簡単な用事を忘れたり、一人でバタバタしていた気がします」とのことです。

平塚さんの体験談を踏まえると「2週間」という育休期間は、家事育児によるママへの負担を軽減する効果はあるものの、パパにとっては「やっと慣れたと思った頃に終わってしまった」という形になりそう。それでも、その“慣れ”を育休後もしっかり継続できれば、家事育児の理想形である「チーム育児」を実現しやすくなることでしょう。

▼平塚さんの育休体験談について詳しくはこちら

「1ヵ月」を超えると育児の楽しさも体感できるようになる

前述の平塚さんによると「10日間ぐらいは家事のペースがつかめず苦労した」とのことですが、では、どれくらいの期間だと自分のペースがつかめるようになるのでか? 長女の出産に合わせて約6ヵ月のワンオペ育休を取得したという伊藤さんは、自らの体験を踏まえてオススメの育休期間を「1ヵ月以上」と提唱しています(※4)。
※4:厚生労働省「イクメンプロジェクト 育児休業を取るイクメンの星ご紹介」
初めの1ヵ月は慣れるのに大変で、1ヵ月以上経過後に楽しめるようになってくるからです。初めは慣れない家事、育児、生活リズムで発見、気づき、悩みの毎日。回せない家事や泣いている娘に対し「どうしよう」「なんでだろう」の繰り返しでした。1ヵ月を経過した辺りから慣れ始め生活リズムも整い、「今日はどこに散歩行こうかな」など自分なりの楽しみを日々の生活に取り入れることができました。
育休期間はママと育児の大変さを共感するなら1ヵ月、育児の楽しさを体感するなら1ヵ月以上というのが私の持論です。
「育児が楽しい」と思えるようになるには、生まれて間もない子どもを育てる“初めてだらけ”の生活に慣れ、不安や戸惑いから脱することがまずは第一。そのためには、最低1ヵ月以上の育休期間が必要なのでしょうね。

「3カ月」あればママの産後回復をサポートし、子どもの成長もたくさん見届けられる

出産後のママの体が妊娠前の状態に戻るまでの期間を「産褥期(さんじょくき)」と呼び、一般的に6~8週間かかるとされています。また、赤ちゃんはおおむね生後2ヵ月ごろを過ぎると人の顔を見てニッコリと笑う「社会的微笑」が見られるようになり、あやすと「アー」「ウー」と声を出すようになります。

前述の伊藤さんの持論も考慮しつつ、ママの産後サポートを十分に果たしつつ、生まれた直後の時期しか見られない子どもの成長を見届けるには、3カ月くらいの育休期間がちょうどよいバランスかもしれません。
「あおねこ」さんの夫も、「3カ月までは赤ちゃんの睡眠リズムが整わず、ワンオペだとしんどそうだから」などの理由で3カ月間の育休を取得。日勤/夜勤のシフト制で分業したり、週に1~2日はお互い好きに過ごせる日を作ることで、夫婦いずれかに負担が偏らないよう工夫したそうです。その結果、おねこさんは睡眠時間をしっかり確保できて産後の体調も順調に回復し、また余裕を持って育児することができ「育児が楽しい」と思えたのだとか。

その一方、休職中に支給される育児休業給付金が申請から振込まで1~2ヵ月かかるため、「はじめの2ヵ月くらい無収入だったのが大変だった」と収入減=生活面でのハードルが存在することも指摘。収入減の影響をなるべく抑えるという現実的な側面からも、3ヵ月ほどの育休期間は“ちょうどいい”かもしれませんね。

「半年」あれば家庭の外でも“パパの基盤”を固められる

家menの「育休取得推進企業の社員に訊く育休体験談」という連載で取材に応じてくださった、丸井グループ勤務の押川さん。長女が生まれた時に10日間の短期育休を取得したものの「あっという間に終わった」ため、次女が生まれた時は家族としっかり向き合える時間を作れるよう、半年間の育休を取得。その結果、赤ちゃんだけでなく、上のお子さんたちの成長を間近で見て関わることができたそうです。

さらに、幼稚園の“父親の会”や町内会の活動に参加することもでき、子を持つパパとして地域での交遊の幅が広がったのだとか。半年間も育休を取得できれば、いつまでも赤ちゃんにお世話に追われることなく子育てのペースを順調に確立でき、そのうちに家庭の中だけでなく外にも目を向ける余裕が生まれるのでしょうね。

▼押川さんの育休体験談について詳しくはこちら
育休の取得期間ごとにパパたちが抱いた実感や実体験をご紹介しました。これらの声を参考に「育休を取得することで自分が何をしたいか、また何をすべきか」を見定めつつ「そのためにはどれぐらいの日数で取得するのがベストか」を検証し、悔いのない育休ライフを過ごせるようにしてください。

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