
お気に入りのアウトドアウェアを長持ちさせるには?ゴアテックス素材ウェア&シューズのお手入れ・洗濯術
洗濯
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近年のアウトドアウェアは、「防水・防風・透湿」を備えたゴアテックスに代表されるハイテク素材を用いたアイテムが各メーカーから多数発売されていて、その機能性の高さが人気を集めています。
ところで皆さんは、そんな高機能アウトドアウェアをどのようにお手入れしていますか? 実はハイテク素材を用いた衣類には正しいお手入れ方法があり、誤った方法で保管しているとせっかくの機能が十分に発揮されず、お気に入りウェアの寿命を縮めてしまうことも…。
そこで今回は、GORE-TEXブランド マーケティングの伊藤さんに、ゴアテックス素材を用いたウェアの正しいお手入れ・洗濯術を解説いただきます。
ところで皆さんは、そんな高機能アウトドアウェアをどのようにお手入れしていますか? 実はハイテク素材を用いた衣類には正しいお手入れ方法があり、誤った方法で保管しているとせっかくの機能が十分に発揮されず、お気に入りウェアの寿命を縮めてしまうことも…。
そこで今回は、GORE-TEXブランド マーケティングの伊藤さんに、ゴアテックス素材を用いたウェアの正しいお手入れ・洗濯術を解説いただきます。
ゴアテックスは洗濯できない?お手入れにまつわる誤解がハイテク素材ウェアの寿命を縮める原因に
GORE-TEXブランドが各メーカーに提供しているファブリクス(生地)には「防水」「防風」「透湿」という3大機能があり、ウェア・パンツ・シューズなどのアウトドアアイテム、またウィンタースポーツ用やランニング用のグローブだったり帽子など小物類の素材として幅広く使われています。ファブリクスは基本的に3層構造になっていて、メンブレンと呼ばれる厚さ0.01mmほどの薄い膜に、表生地と裏生地の2枚の生地を貼り合わせたものです。
メンブレンは拡大して見るとクモの巣のような網目状で、水は通さないけど水蒸気分子は通すという穴のサイズになっていることで、防水と透湿を両立できているのです。さらに生地の表面には撥水加工が施されていて、撥水基という水の分子よりも細かい繊維によって生地を覆い、無数の毛先で水を弾く仕組みになっています。
なかには撥水加工=何か特別な素材が表面にコーティングされていると誤解し、「ウェアを洗うとコーティングが落ちてしまう」というイメージを抱いている方が少なくありません。また、ゴアテックス素材の製品はそれなりの値段がするものが多いため、「自宅で洗濯すると、アウトドアウェアの機能が落ちてしまうのではないか」という心配から洗わない方も意外と多い印象です。
しかし、ゴアテックスを用いたハイテク素材ウェアは、汚れが付いたまま保管したり、車中やスタッフサック(荷物袋)など湿気がこもる場所に置いておくと、機能が低下し製品が早く劣化してしまう原因になります。撥水機能は使い続けていくうちに徐々に低下していくものですが、防水・防風・透湿はしっかりお手入れしていれば性能が低下することはないので、お気に入りのハイテク素材ウェアを長く使い続けられるよう、ぜひこまめに洗濯していただきたいと思います。
しかし、ゴアテックスを用いたハイテク素材ウェアは、汚れが付いたまま保管したり、車中やスタッフサック(荷物袋)など湿気がこもる場所に置いておくと、機能が低下し製品が早く劣化してしまう原因になります。撥水機能は使い続けていくうちに徐々に低下していくものですが、防水・防風・透湿はしっかりお手入れしていれば性能が低下することはないので、お気に入りのハイテク素材ウェアを長く使い続けられるよう、ぜひこまめに洗濯していただきたいと思います。
ハイテク素材ウェアの機能を低下させる汚れとその仕組み
ハイテク素材ウェアの表面はパッと見がキレイでも実は汗や皮脂で意外と汚れていて、そうした汚れの成分によって生地表面の撥水基がグニャっと倒れることで撥水性は低下してしまいます。しっかり撥水されず水分を含んだ状態のままだとウェアが重くなって動きづらくなり、さらにウェアが冷たくなり体温が奪われてしまう原因となります。
また、撥水機能が低下して生地の表面に水が停滞すると水蒸気の通り道がなくなり、汗が放出されずウェアの中が湿ってしまうなど本来の機能が発揮できない状態になるのです。「防水ウェアなのに中がじっとり濡れている」と感じる場合、実はこうした透湿性の低下が原因であるケースも少なくありません。
また意外と見落としがちなのが、首回りや裾などウェアの内側の汚れ。ウェアの縫い目(穴)から水が入らないようシームテープが貼られていますが、この防水テープを貼る特殊な接着剤が汗や皮脂の汚れによってはがれやすくなります。
なお、倒れた撥水基は洗濯で汚れを落とし、乾燥機やアイロンで乾かすことによって回復します。表面の汚れはもちろん、内側の汚れによって防水性を低下させないためにも、ハイテク素材ウェアはしっかり洗濯することをオススメします。なお洗濯した後は、洋服と同じように湿気が生地にこもらないよう風通しが良い場所に保管するのが基本です。
また意外と見落としがちなのが、首回りや裾などウェアの内側の汚れ。ウェアの縫い目(穴)から水が入らないようシームテープが貼られていますが、この防水テープを貼る特殊な接着剤が汗や皮脂の汚れによってはがれやすくなります。
なお、倒れた撥水基は洗濯で汚れを落とし、乾燥機やアイロンで乾かすことによって回復します。表面の汚れはもちろん、内側の汚れによって防水性を低下させないためにも、ハイテク素材ウェアはしっかり洗濯することをオススメします。なお洗濯した後は、洋服と同じように湿気が生地にこもらないよう風通しが良い場所に保管するのが基本です。
洗剤は?洗い方は?ゴアテックス素材ウェアの洗濯方法と注意点
ゴアテックス素材を用いたウェアの洗濯は、タグに記されている取り扱い表示や各メーカーのホームページで推奨されている方法を確認した上で、洗濯可能であれば家庭用洗濯機で普通に洗って大丈夫。ただし、注意すべきポイントがあるので、いくつか挙げていきます。
①漂白剤、柔軟剤、芳香剤は使わない
洗濯に用いる洗剤は、専用洗剤でなくても一般的な市販品で大丈夫です。ただし、柔軟剤や芳香剤などの使用は避けてください。柔軟剤や香りの成分は生地の表面に付着することで働きが作用しているのですが、その成分によって撥水基が倒れてしまい撥水機能が発揮されない可能性があるので、洗浄機能だけを備えたシンプルな洗剤をオススメします。
②しっかりすすいで洗剤を落とす
せっかく洗っても生地の表面に洗剤が残っていると、やはり撥水基が倒れて撥水機能が落ちる原因となります。40℃前後のぬるま湯を用いて、ウェアに洗剤が残らないようしっかりすすぎましょう。また、洗剤を落としやすくするという観点から、粉タイプよりも液体タイプの洗剤の方が溶け残りが少なくてオススメです。
③撥水回復のため乾燥機やアイロンで熱処理をする
十分すすいだ後は、日陰の吊干しあるいは乾燥機(高温は避けること)で乾かします。さらに、一度倒れてしまった撥水基は熱を与えることでより立ちやすくなるので、撥水性が落ちてきたと感じたら洗濯・乾燥後の熱処理をオススメします。乾燥機なら約20分間の温風乾燥、あるいは低温・スチームなし・あて布(布を1枚はさむ)でアイロンがけをしましょう。なお、製品によっては乾燥機を使えない部材が用いられている場合もあるため、乾燥の前にタグ表示やメーカー推奨の取り扱い方法をご確認ください。
④洗濯の頻度は「着たら毎回洗う」が基本!クリーニングも活用しよう
ウェアには見えない汚れが意外と付着しているので、基本的にはTシャツと同じように「着たら毎回洗う」ようにしてください。シーズン中に頻繁にウェアを着る場合は、普段はさっと軽く洗濯し、シーズンオフにクリーニングショップでしっかり洗って撥水加工をしてもらうというお手入れスタイルも選択肢です。さらに、ひどく汚してしまったり長年お手入れしていないウェアは、アウトドア専門のクリーニングサービスで汚れをリセットしてもらい、日々のお手入れを楽にするのもいいでしょう。
ゴアテックス素材フットウェア(シューズ)の洗濯方法と注意点
シューズもウェアと同じくそのまま洗濯して大丈夫です。一般的なステップは次のようになりますが、レザーシューズなどメーカーの指示がある製品は必ずその方法に従ってください。
1. 靴紐を外し、シューズの中から砂・小石・ごみを振り落とす(可能なら中敷きも外す)
1. 靴紐を外し、シューズの中から砂・小石・ごみを振り落とす(可能なら中敷きも外す)
2. 布やブラシで汚れを洗い流し、少量の液体洗剤を含むぬるま湯でよくすすぐ
※漂白剤は使用しないでください
※洗濯機で洗わないでください
※漂白剤は使用しないでください
※洗濯機で洗わないでください
3. 新聞紙を詰め、適度な温度で自然乾燥させる
※濡れたまま放置しないでください
※直接熱を加えることは避けてください
※濡れたまま放置しないでください
※直接熱を加えることは避けてください
靴の表面が水を弾かなくなった場合は、撥水剤(水性のスプレータイプ)を用いて耐久撥加工を行ってください。なお、撥水ワックスやグリスはフットウェアの透湿性に影響を与える可能性があるため使用しないでください。
「ハイテク素材ウェアを洗濯してほしい」という願いの意図は?
私たちGORE-TEXブランドにとって、せっかくご購入いただいた製品とその機能を長く使い続けていただきたいという思いがあります。また、昨今はSDGsを通じて環境問題への意識が高まり、企業や個人がさまざまな取り組みを行っています。そんな中、一つの物を長く使い続けることは環境に優しいアクションにもなります。
ハイテク素材ウェアは洗濯することでより長く機能を保つことができます。ぜひ正しいメンテナンス方法を実践し、長持ちさせてください。
取材協力・写真提供:GORE-TEXブランド
ハイテク素材ウェアは洗濯することでより長く機能を保つことができます。ぜひ正しいメンテナンス方法を実践し、長持ちさせてください。
取材協力・写真提供:GORE-TEXブランド